iPhoneバッテリーの化学的経年劣化が進むと(Apple公式ホームページより)
2016年発売のiPhone 7が28位から9位に急上昇の理由
こうした中古スマホ市場の盛り上がりの背景として、ほかには「通信と端末の分離によって端末だけの購入が促進されたこと」、「リユース市場の拡大による中古商品の平均的な品質・信頼性の向上」という要因も考えられるという。
では、中古市場ではどのような機種が人気なのか。同社の「2025年8月 中古スマホ販売・買取数ランキング」(対象期間:2025年8月1日~2025年8月31日)によると、販売数1位はiPhone SE(第3世代、64GB)、2位はiPhone SE(第2世代、64GB)と、iPhone SEシリーズが上位を占めたほか、iPhone SE3(64GB)は3か月連続でトップを獲得したという。
なぜ、中古端末の中でもSEシリーズが根強い人気を誇るのか。遠藤氏は、その主な理由として「コンパクトなサイズ感」と「手頃な価格」を挙げる。
「日本では特に小型モデルに対する根強い人気があります。過去のiPhone SEシリーズやiPhone 8などが中古市場でも上位にランクインしていることからも、日本市場における小型モデルへのニーズの高さが伺えます。Touch ID搭載機種を求める声も多く、物理ボタンによる操作感やセキュリティ面での安心感も、人気の要因となっていると考えられます」
近年、スマホの価格が高騰する中、iPhone SEシリーズは比較的低価格で購入できる点も、支持を集めている要因だと考えられる。
「特に、2022年4月に発売された第3世代モデルは、中古市場でも状態の良いものが多く出回っています。スマートフォンを4年程度で買い替えるユーザーが多い中、5G通信に対応したiPhone SE3は、最新技術を手頃な価格で体験できるエントリーモデルとして、買い替え需要を喚起しているのではないでしょうか」
中古スマホ販売サイトをいくつか覗いてみると、中古のiPhone SE3は状態や容量によって価格は異なるが、おおよそ3万~5万円台で購入できるようだ(2025年10月時点)。ランキングでは2016年に発売されたiPhone 7が、7月の28位から9位に急上昇していることも見逃せない。
「新型iPhoneの発表前ということもあり、メイン機種として活用のしやすい機種の中古スマートフォンが買い控えされたため、手軽に使えるサブ機として、あるいはお子様やご年配の方向けの家族用としてお求めしやすい価格の端末の購買が目立ったのだと思われます。既に新型iPhoneは販売が開始されているので、これからはメイン機種として活用のしやすい機種も購買が活発になっていくことが予想されます」