大手タクシー会社は「ご配慮いただければありがたい」
ではタクシー会社は、車内での飲食問題をどう考えているのだろうか。東京の大手タクシー会社の広報担当者が、社名を伏せることを条件として、取材に応じてくれた。
タクシー車内での飲食の可否について、担当者は「弊社ではタクシー車内での飲食を禁止するルールや規定はございません」と回答。ただ、飲食物の種類やマナーなど、乗客が気をつけるべき点について、「配慮していただきたいことはある」と言う。
「弊社ではタクシーはプライベートな移動空間を提供するものと考えておりますが、一方で公共交通機関でもある。その性格上、不特定多数のお客様がご利用になるものであることから、においの強いものをひかえることや、車内を汚損しないように召し上がっていただくなど、次にお乗りになるお客様へご配慮いただければありがたいです」(広報担当者、以下「」内同)
SNSで拡散されたタクシー飲食をめぐる動画では、運転手が「飲食禁止」と注意していたが、飲食の可否が運転手の判断によって決まることはあるのか。
「弊社では乗務員の判断で差し止めるといったことは基本的にございません」
今回の騒動では、乗客が運転手に「『食べても(飲んでも)よいですか?』と一言断りを入れるべきだった」という声も少なくなかった。
「弊社ではお客様に必ずしもそうしたお声がけを求めておりませんが、そのようなご配慮をお客様からいただけると、乗務員としても車内空気を換気するなど、配慮につながると考えます」
また車内飲食時に万が一飲食物をこぼしてしまった場合には、乗客にどのような「責任」が生じるかも気になるところだが、担当者によると「現在、お客様の賠償責任については特に規定しておりません」とのこと。とはいえ、酔って嘔吐すればクリーニング代や営業損害の請求がなされる場合があることを考えれば、汚さないに越したことはない。
タクシーの車内は他人の目がない分、プライベート空間のように感じられることも確かだろうが、運転手も次なる乗客も快適で心地よい車内空間を保つために、車内マナーは頭に置いておきたい。