要介護認定を受けるか否かで大きな違いも(写真:イメージマート)
高齢化が進む日本では、介護は身近なものになっている。配偶者が介護が必要になることもあれば、自らが倒れて後遺症が残ることもあるだろう。そういったもしもの時に備えて、夫婦がけ元気なうちに知っておくべきことは少なくない。体験者の声を踏まえて、専門家にアドバイスをもらった。
都内在住の70代女性は数年前に夫が脳出血で緊急入院した。手術後、リハビリの甲斐もあって日常生活に不自由はなくなったが、半身に少しだけ麻痺が残った。妻は要介護認定を勧めたが、夫は「俺は大丈夫だから必要ない」と嫌がったという。
「夫は病人扱いされるのが嫌だったようです。要介護認定をせず、車いすなどの介護用品を自費で購入したのでお金がかかりました」(70代女性)
ケアマネジャーとしてひとり暮らしの介護者を大勢見てきた田屋正美氏によれば、寝たきりなどの重い状態ではなくとも要介護認定を取ることは可能で、これがあるとないでは大きな違いが出るという。
「要支援でも、取れば1~3割負担で車いすなどをレンタルできるだけでなく、泊まりのショートステイといった介護を受けられます。配偶者が緊急の用事がある時にも利用でき、精神的にも助かります。
夫婦のどちらかが少しでも生活に不安が出てきた段階で、要介護認定の取得を検討すると良いでしょう。元気なうちに地域包括支援センターを夫婦で訪れてみることも大事です」(田屋氏)
要介護認定を受けたがらない配偶者には、まず権利を伝えてみることだと、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏が言う。
「プライドもあり、体が弱ることや援助を受ける側になってしまうことを嫌がる人は多いのですが、介護保険は体が弱った人が使うものではなく、健康保険と同じく保険料を払った人には当然使う権利がある。“使わないと損”だということが伝わると受け入れてもらえるケースも多いようです」
