「自分は暇だ」と公言できる羨ましい生き方(イメージ)
「暇人」と言われると腹を立てる人もいるように、「暇」というものは多くの人にとって避けるべきものかもしれない。だが、暇であることを公言することができる人は案外幸せなのではないか。そう考えるのは、『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)著者でネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。中川氏は、最近「オレは暇だ」という高齢者との付き合いが増えたという。暇人の何が幸せなのかを報告する。
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私は勤め人ではないので、時間が自由です。そのため、12時~14時頃、夕飯の買い物のためスーパーに行けたりします。その帰路、路上で会うのが「自称・暇人」の70代男性の方々です。そのうちの一人、Aさん(70代後半)の話を紹介します。
「おい、お前、今からカラオケスナックに行かないか! 生ビールおごってやるよ!」と言ってくる。その時にそこまで差し迫った仕事がない場合は「ぜひ!」と一緒に行くのですが、店に着いてビールを飲み始めると、「いやぁ~、オレも暇だからさぁ、今日会えて良かったよ!」なんてことを言います。
いや、あなたは暇かもしれませんが、私は今日あと2本原稿を入稿しなくてはいけないのですが……。とりあえず今、14時30分なので、15時40分にはなんとか解放してください! 18時までに2本書くためにはその時刻にはここを出なくてはいけないのです!……なんて思うこともあります。
しかしながら、一方的に「この街を活性化するためにはお前の力が必要なんだよ~! 力を貸してくれ~! オレも必要な人材は紹介するからさ~! 東京の有力者もたくさん知っている。そいつらとお前を引き合わせるからさぁ~!」なんてことを言ってくる。
となれば、私としても、Aさんの熱意に引き込まれてなんとか我が街・佐賀県唐津市を盛り上げるべく協力したくなるわけです。しかしながら、ここで主題としたいのは、Aさんが「オレは暇だ」と外連味もなく言い切れることです。
