過熱相場で資産を増やすための投資スタンスとは
日経平均が5万円の大台を超えるなかで、個人投資家はどういった戦略を取ればいいのか。会社員時代の2013年に300万円を元手に投資を始め、子供の頃から大好きでビジネスモデルが理解できるゲーム関連の銘柄に特化した集中投資によって、わずか2年で“億り人”になったゆずさん(30代後半)に話を聞いた。
ゆずさんは億り人になった後も数か月で何倍にも上昇するゲーム銘柄を掘り起こして順調に資産を増やし、2016年にFIRE(経済的自立と早期リタイア)を実現、専業投資家になった。現在は大型株を中心に、中小型株と組み合わせてポートフォリオを構築。数億円規模で株式投資をしている。「ゲーム株に関しては日本一詳しい」と自負するゆずさんは、ボラティリティ(変動率)の大きい現在の株式市場をどう見ているのか。
恐怖指数30超えでも大暴落はない
首班指名をめぐる混乱、米中関税戦争の再燃懸念で一時的に大幅に下がる局面はあったものの、積極財政派の高市早苗首相が誕生し、日経平均は再び右肩上がりのトレンドに戻ったかに見える。
「日本株は今、“過熱”と言っていいほど上昇しています。ここ数か月の熱気は、アベノミクス初期を彷彿とさせます。しかし、中身をよく見ると、上がっているのは日経平均を構成する大型株が中心で、東証グロース市場に上場している中小株はあまり上がっていません。それどころか、ものによっては下がっている銘柄もあります」(以下「」内はゆずさんのコメント)
こうした市場環境では大化け株狙いの中小銘柄は動きが少なく、個人投資家にとってはむしろ逆風だという。
「今利益を上げているのは、日経平均やS&P500(アメリカの代表的な株価指数)に連動した投資、あるいはオールカントリー(世界中の株式に分散投資する投資信託)などを新NISAで運用している人たちです。大化けが期待できる中小株を自分で見つけて勝負するアクティブな投資家はあまり利益を出せていないのではないでしょうか。
一般的には株式市場全体が上がる時は、まず大型株に資金が流入します。次に、大型株が短期で上がり過ぎると利益確定などから上値が重くなり、調整が入ります。同時に、そこで生まれた資金が中小株に流れるというのが通常のサイクルです。ところが、こうした資金の循環がまだ起こっていません。
日経VIX(日経ボラティリティ・インデックス。俗に「恐怖指数」)を見ると、通常は20から30の間を推移しているのに、10月中旬に30を超えることがあるなど、投資家が市場の先行きにやや不安を感じていることを示しています。しかし、大暴落して下降トレンドに向かうという可能性は低いでしょう。とすれば、今は新NISAで積み立て投資をするのが安全、確実ということになります」
