ベストセラー『中学受験は親が9割』(青春出版社)の著者で、中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表の西村則康氏。日本初の「塾ソムリエ」としても活躍している
圧巻のサピックスのテキスト
まずは難関校を狙うならどこの塾がいいだろうか。
「やはり、サピックス(SAPIX)ですね。“切磋琢磨の場”として完成されています。難関校を目指す生徒が集まって授業はスピーディー、教材は入試傾向に連動して常に刷新されています。テキストは一から作り直すのではなく、小冊子方式だから更新頻度も高いんですよ。入試の傾向を随時テキストに反映させるシステムも完成されています」
国語ではテクニック指導よりも先に、まず“深く読む力”を鍛えるのが特徴だと言う。
「他塾のテキストだと小学5年からテクニックで解くことが入ってきます。たとえば、物語文だと、『感情を表す部分に線を引きましょう』といった感じです。ところがSAPIXはそれをせず、まずは深く読ませ、共感力を高める訓練を積んでからテクニックを教えます。その順番が特徴的です」
算数も同じで、解法のパターンをただ覚えさせるのではなく、自分の頭で考えて解かせるようにしていく。そして、サピックスはテキストが洗練されているとの評判だ。算数では解法の分類が明確に分かれている。
「たとえば、算数。問題の仕分けがしっかりされているんです。旅人算を例に挙げると、通常の塾だとひとつのページにいろんな解法が載っています。しかし、サピックスの場合、線分図とダイヤグラム(グラフ化して問題を解く方法)が別々に掲載され、しかもダイヤグラムの中のパターンも細分化されています。ダイヤグラムで旅人算の2人の距離の変化を表すグラフから始まる問題がありますが、これもひとつのページにまとまっています。
このようにテキストに整理されて載っていると、宿題として出たときに取捨選択がしやすんです。志望する学校の受験で出ない内容は、そのページをまるまる『やらなくていい』と判断できるからです。非常に整理された使いやすいテキストです。ただ、解法パターンが明確な分、丸暗記学習にならないようにしてほしいです」
難関校に強い塾だが、誰にでも合うわけではない。国語はテクニックよりも先に「どう読むか」をトレーニングさせるために、読解が苦手な生徒は苦戦をすることもあるという。
