暮らしを快適にするためのリフォームがあだになるケースも(イメージ)
老後資金への不安から、できるだけお金を使わず“貯めっぱなし”になっている高齢者も少なくないという。しかし、貯めっぱなしになったまま最期を迎えることは、果たして幸せなのだろうか。あれをしておけばよかった、もっとこうすればよかった……そう悔しい思いをするのは悲しく不幸なことなのではないか──。後悔しない最期を迎えるためにも“使えるお金は使っておく”ことは、正しい選択なのかもしれない。ただ、お金を使うのも簡単ではないのだ。【後悔しない老後資金の使い方・全3回の第2回】
リフォームのせいで転倒し認知症に
使えるお金のだいたいの目安がわかっても、“正しい使い方”を知らなければ、思いもよらない不幸な老後が待ち受けている。社会保険労務士の井戸美枝さんはこう語る。
「老後に備えてリフォームを検討する人がいますが、慎重に検討すべきです。その家にあとどれくらい住むのか、病気になっても、夫に先立たれても、介護が必要になっても住み続けるのかきちんと考えなければいけません」
暮らしを快適にするためと思ってやったはずのリフォームがあだになることも。
「70才になった母は、数年前にトイレとお風呂に手すりをつけました。転んだら危ないからないよりはいいかと思っていましたが、リビングや階段など業者にすすめられるがままにいろいろなところに増設してかえって動きにくい状態に。
ある朝、階段の手すりをつかみ損ねて転んでしまったんです。骨折し、すっかり出不精に。最近は物忘れもひどくなってきて、これなら手すりなんかつけなければよかった。しかも、インターネットで調べて見つけた業者にやってもらったそうですが、相場よりずいぶん高かったみたい。本人も後悔していてかわいそうで、きちんと見てあげればよかったです」(埼玉県在住のパート女性・51才)
マネーコンサルタントの頼藤太希さんは、「子供への過剰な支援や、孫消費も控えるべき」と指摘する。
「よっぽど資産に余裕があれば別ですが、自分たちの生活にお金を使うことを優先しましょう。子供や孫にお金をかけることが当たり前になってしまうと、やめどきがわからなくなり支出額がどんどん大きくなるケースも珍しくありません」
リスクの高い金融商品への投資もNG。
「老後資産を増やそうと退職金を元手にオプション付き投資信託やFXなどリスクの高い投資先に回す人がいますが危険です。株で大損して資産が一気に減ってしまった人も意外と多い。現役時代から投資をしていたならまだしも、定年後からリスクの高い投資をすると失敗するリスクが非常に大きい」(頼藤さん)
井戸さんも言い添える。
「新NISAが導入され、貯蓄から投資へのスローガンの下、政府も積極的な投資行動を推進しています。それに伴い、たった数年で1億円貯めました、とか、運用で一発逆転、といった本が次々出ていますが、読まなくていい。あまりにもリスクがありすぎます」
