南武線・武蔵新城などの評価が高まった背景とは
東京と神奈川を南北に結ぶJR南武線は、川崎・武蔵小杉・武蔵溝ノ口といった巨大ターミナルをつなぎ、沿線には大型商業施設と落ち着いた住宅地が混在する“暮らしやすさが評価される路線”として知られている。通勤・通学の動線もシンプルで、日常の移動負担が少ない点が長年支持を集めてきた。
一方で、東京都心の住宅価格が高騰するなか、神奈川県では「生活利便性と価格のバランス」を重視する動きが強まっているという。職住近接を求めつつも“無理なく買える範囲”を探す層が増えてきたわけだ。
そうしたなかで注目されるのが、将来人口の動きだ。人口ピークアウト時代には、人口が維持・増加する地域ほど住宅需要が底堅くなり、不動産価値の安定性にも直結しやすい。反対に、人口が減少に向かう地域では、将来的な評価が伸び悩みやすいと言われる。
不動産コンサルタント会社リーウェイズは、国土交通省のシンクタンクである国土技術政策総合研究所が公表した『将来人口・世帯予測ツール』を基礎データに、2025年と2035年の人口を比較。約5億件の物件データを扱うAI分析を用いて駅ごとの将来人口の増減を算出し、“10年後に発展する駅”をランキング化した。そこから見えてきた神奈川県の傾向を分析してみよう。
主要駅から“拡散現象”
この分析で特に存在感を示したのが南武線だ。武蔵新城（神奈川1位、3953人増）、向河原（同2位、3519人増）、矢向（同3位、2880人増）、鹿島田（同4位、2565人増）など、ランキング上位には南武線の駅が並ぶ。いずれも川崎・武蔵小杉といったターミナル駅へのアクセスが良く、日常の買い物環境も整っている点が評価を押し上げている。
