車体色は写真の「シャインライトグリーン」と他に「パールジェムホワイト」、「マットソイルベージュ」を用意。メーカー希望小売価格は23万4000円(税込)
パナソニックといえば、その原点は1918年に松下幸之助氏が設立した「松下電気器具製作所」にあります。創業当初は「アタッチメントプラグ」や「二灯用差込みプラグ」などの接続器具を製造・販売し、その後、1923年(大正12年)に「自転車用砲弾型ランプ」を考案、発売しています。さらに社名が松下電器時代へと変わった1952年には自転車事業をスタートし、人気を得ました。そして1980年には国内第1号の電気自転車(原動機付自転車)を発表し、1996年には「ナショナル」として初めての電動アシスト自転車を発売しました。
また競技用自転車の世界でもパナソニックは、1990年代にヨーロッパのプロチームへ機材供給を行い、ツール・ド・フランスでスプリント賞やステージ優勝を獲得した実績があります。家電メーカーとしてのイメージが強いパナソニックですが、実は自転車もグループ内では重要なポジションを占めるブランドであり、現在も電動アシスト自転車市場において「国内シェアNo.1」を誇ります。
1973年にパナソニックが初めて投入した電動アシスト自転車
なにより大切な走行時の安定と安心を確保
そのパナソニックが特定小型原動機付自転車という、自社にとっては初めての挑戦の答えを「MU」の投入によって示したわけです。当然、その仕上がり具合はかなり気になるところ。
目の前に登場した「MU」を見ると、まさにフォルムは電動アシスト自転車そのもの。違和感があるのはペダルがなく、足を置くためのしっかりとしたステップが装備されている点ぐらいです。
それよりもガッチリとした“U字型”フレームは安心感があります。メーカーはU字型フレームを採用した理由を「乗り降りがしやすく、停車時の足つき性がいい」と説明しています。オートバイなどでも乗車時や降車時、そして停車時に倒れてしまう「立ちゴケ」などという事がけっこう起きます。そんな場合にもこのフレームデザインであれば、対処が楽。
つぎにタイヤですが20インチを採用。シティサイクルとしても使いやすいタイヤサイズを確保していますから、段差の乗り上げ、少し荒れた路面、そして直進安定性において安全で快適な走行性が考慮されていると思います。同じカテゴリーの乗り物とはいえ、電動キックボードのように小さなタイヤと比べれば、走行安定性は格段に高くなります。なにより座ったまま走れて荷台も装備されるという実用性の高さがあるため、日常的に使用している自転車と、ほとんど同じ感覚で乗れそうです。
早速、スタンドを跳ね上げて「MU」に跨がります。シートの高さを自分に合わせてありますから、この段階では家にあるお買い物自転車そのもの。まずハンドルバーの左側に装備された黒いコントロールユニットのメイン電源スイッチをオンにして、「走行モード」のセレクトボタンで「車道モード」を選択。するとデジタルの表示窓に「MAX 20km/h」と表示されます。これで最高速度20km/h以下で車道を走ることができます。
準備が整ったところでハンドルバーの右側グリップにあるスロットルを手前にひねると走り出し、ひねるほどの速度が上がり、戻せば減速します。オートバイのようにグリップ全体がスロットルになっているのではなく、親指と人差し指と中指で握り操作しますが、使いにくさはほとんど感じません。ここで感心したのはスロットルを多少急にひねってもトルクが突然上がることはなく、あくまでもソフトに走り出し、急発進とはなりません。走り出せば、あとは普段の自転車感覚でコーナリングもスムーズそのもの。
そしてブレーキは同社の電動アシスト自転車から流用。坂道や急停止時の制動力を確かめるブレーキ性能試験といった厳しい独自基準での安全性テストを実施しています。事実、走行中に制動力に不安を感じることはほとんどなく、思った通りに停車できます。今回のコースには設定がなかった坂道の上り下りなども試してみたかったのですが、パワー感から見ると常識的な坂道ならほぼ対応してくれると思います。
メインスイッチやデジタル表示のバッテリー残量、そして走行モードでの最高速度などがシンプルに表示される
リアにも視認性のいいウインカーとストップランプを兼ねるリアランプが装備され、保安基準をしっかりと満たしている



