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河合雅司「人口減少ニッポンの活路」

維新の会「副首都構想」検討すべき課題「今なぜ副首都が必要なのか?」人口減少ニッポンで“もう1つの首都”をつくる意味とは

「一極集中」を是正しても「二極集中」になるだけ

 連立合意でもう1つの目的として掲げられた「首都機能分散および多極分散型経済圏の形成」も注意深く検討する必要がある。

 これは東京一極集中の是正を念頭に置いたものだが、政府機関の一部を移転させる程度で東京一極集中が解消するわけではない。

 副首都となった都市の交通インフラなどを国費で大規模に整備すれば、その都市は経済成長し人口集中が進む。ただし、その人口集中は東京から人々が移り住むことで起きるわけではない。副首都の周辺を中心に地方圏からの流入となろう。

 副首都とは「ミニ東京」をつくることである。一方で人口減少社会というのは大都市への人口集中が起こりやすい。すなわち、東京への人口集中は相変わらず続き、本来ならば東京に流入したであろう人の一部が副首都に流れ込む「二極集中」を引き起こすこととなるのが関の山だ。

 こうした「二極集中」が人口減少社会で起きた場合の影響も考える必要がある。今後の日本人人口は毎年1%減ペースで縮小していく見通しだ。こうした状況下で、東京と「ミニ東京」たる副首都が同時に人口を吸い上げたならば、地方圏の人口は急速に減ることとなろう。

 人口減少社会において副首都を置く必要が本当にあるのか。経済界などには副首都が経済成長の起爆剤になることへの期待もあるようだが、国土全体に与える影響を踏まえ、国家戦略として考えなければならない。

■後編記事につづく:副首都構想が“国家の自滅行為”となりかねないワケ 人口減少社会で新たに「ミニ東京」を作って地方から人口を吸い上げる愚【人口問題のスペシャリストが警鐘】

【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。小学館新書『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』が話題。

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