訪日外国人の“医療費踏み倒し”問題にメスが入る(写真:イメージマート)
急拡大していた外国人受け入れ路線の転換を図っている高市早苗・首相。不法滞在者や不法就労の規制強化や帰化要件の厳格化、外国人の投資規制、優遇制度の見直しなどに舵を切った。とりわけ注目されるのが、在留外国人数が最多の3割近くを占める中国人を念頭に置いた指令の数々である。
とくに日本政府が中国を意識して打ち出したと思われる政策が次の4つになる。
【1】中国系ネット通販への課税強化
【2】中国人留学生の「免税」特権廃止
【3】マンション転売と税逃れ規制
【4】医療費踏み倒し外国人の入国規制
――いずれも高市政権の「中国人から税金を取れ!」という指令だと考えられるのだ。
台湾有事をめぐる高市首相の発言に反発した中国は日本産水産物の輸入禁止や渡航自粛の呼び掛けといった報復に出ているなか、高市政権がそれに対抗するかのように外国人政策見直しを推し進めているわけだ。ここでは、医療費踏み倒し外国人の入国規制について、どういった対策なのか見ていこう。
未払いが20万円以下なら何度来ても“未払い通院”可能
訪日外国人が日本で病院にかかったのに医療費を踏み倒すケースが大きな問題になっている。
現行制度では、厚労省から出入国在留管理庁に共有されるのは「20万円以上」を踏み倒した外国人の情報だけで、制度的には、それ未満であれば何度も日本に観光に来て“未払い通院”が可能だ。
そこで高市首相は外国人政策関係閣僚会議(11月4日)で対応厳格化を指示。厚労省がシステムを改修し、「1万円以上」未払いの外国人の情報を出入国在留管理庁に提供、ビザ発給しないといった措置が取れるようにする。
「外国人の医療費不払いは月に2億3000万円ほど。入管法には国や自治体の負担になる外国人の入国は受け入れないという規定があり、現在は20万円以上の医療費未払いのある方の再入国を認めない方針をとっている。その基準を1万円以上に引き下げる」(厚労省医政局総務課)
さらに中長期滞在の外国人にも医療費未払い状況で「在留許可」の延長や取り消しを判断することも検討されている。
