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「CO2排出量が実質ゼロに」100%次世代バイオディーゼル燃料を使った「ディーゼルカー」が岡山エリアで運行開始 より環境性能が高い輸送機関へと進化する鉄道の現在地

100%次世代バイオディーゼル燃料を導入した営業列車のイメージ(画像提供:JR西日本)

100%次世代バイオディーゼル燃料を導入した営業列車のイメージ(画像提供:JR西日本)

 JR西日本は、岡山エリアで「100%次世代バイオディーゼル燃料による営業列車」を走らせている。これは、国内の鉄道では初めての試みだ。どのような経緯で実現に至ったのか。交通技術ライター・川辺謙一氏がJR西日本に取材し、レポートする

目的はカーボンニュートラルの実現

 結論から言えば、これはカーボンニュートラル(CO2などの温室効果ガスの実質の排出量がゼロになった状態)を実現する試みだ。現在、世界の120以上の国や地域が、2050年までのカーボンニュートラルの実現を目標として掲げている。もちろん、日本もそのための取り組みを推進している。

 鉄道においては、長らく気動車(ディーゼルカー)が排出する温室効果ガスが課題となっていた。気動車は、おもに非電化区間を走る鉄道車両で、化石燃料である軽油を燃料としていたため、温室効果ガスを排出していた。

 そこで国土交通省は、鉄道での温室効果ガスの排出量を削減することを目標に掲げ、「鉄道技術開発・普及促進制度 令和4年度新規技術開発課題」(鉄道車両におけるバイオディーゼル燃料の導入に向けた技術開発)を公募した。国としても、バイオディーゼル燃料を軽油の代替として使うことを推奨していたのだ。

 これに対して、鉄道総合技術研究所とJR7社が応募し、JR西日本エリアで実証実験を行った。冒頭の取り組みはJR西日本単独ではなく、鉄道総合技術研究所とJR7社による共同事業であり、その実証実験の場として、JR西日本エリアが選ばれたのだ。

 いっぽうJR西日本は、これとは別に、2021年に環境長期目標「JR西日本グループ ゼロカーボン2050」を策定し、2050年にグループ全体のCO2排出量を実質ゼロにすることを目指していた。

次のページ:実証実験から営業列車への本格導入へ

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