親が自覚すべき子育てに対する「自分のタイプ」
――それでは中学受験において、親はどのようなスタンスでいればよいのでしょうか?
山口:発達心理学者・バウムリンドの「4つの子育てタイプ」という分類があります。この子育てタイプには2軸あり、ひとつは「子供の気持ちをどれだけ受け止めるか」、もうひとつは「子供にどれだけルールを決めるか」。この2軸の組み合わせにより、「服従型」「民主型」「無関心型」「寛容型」の4タイプにあてはめられます。この4つのどれがいい、どれが悪いと一概には言えないと思いますが、まずは親自身が、自分はどのタイプで、どういう風に子供に接しているかを自覚することが大切です。
――自分のタイプに関して、自覚的になることが重要だと。
山口:親は自分の経験や感覚のもと、当然良かれと思って子供に接しますが、それを客観的に捉えた時、「自分は子供にルール遵守を求めすぎていないか」とか、あるいは「子供の気持ちに沿いすぎていないか」といったことを見つめ直すのに、この4タイプはすごくわかりやすい。
自分の接し方が、相手にとってどんなメリットがあるか、どんなデメリットがあるかを理解することが大切です。「親がどう導くか」よりも、「どう対話するか」が大切です。合格をゴールにするのではなく、子供自身が納得して選び、失敗も含めて学べる環境を整えること。その“選ぶ力”こそが、のちの人生に大きくかかわるのです。
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第2回記事では、子供自身に主体性が問われる大学選びにおいて、“選ぶ力”をどう育てればよいのか、山口さんに解説してもらった。
(第2回記事に続く)
【プロフィール】
山口大輔(やまぐち・だいすけ)/(学)河合塾学校事業推進部部長。1996年河合塾入塾。営業として東京都内の高校を担当。2002年より名古屋大学との共同研究に参画しテスト理論を学び、新商品開発に携わる。その後、模試事業企画を経て2009年より新規事業企画に従事。非認知能力や職業適性を測るアセスメントテスト『学びみらいPASS』のほか、意思決定の方法を学ぶ『ミライの選択』などの開発に携わる。著書に『人生で必要な決め方はすべて「進路選択」で学べる』(東洋経済新報社)。