「妻に頼りきり」という男性は要注意(写真:イメージマート)
「配偶者にもしものことがあったら」──そんな考えも頭によぎる人生後半戦は、夫婦にいつ“万一”が起きるか分からない。これから10年、夫婦のどちらに何があってもいいよう、何をどう準備しておくべきだろうか。
特に「妻に頼りきりだ」という男性は要注意だ。先立たれてガクッと老け込んでしまう人も多い。そうならないために今からすべきこととは。
「夫婦共通の友人や知人」の大切さ
人間関係や身の回りのことも夫婦が元気なうちに準備を進める。シニア生活文化研究所代表理事の小谷みどり氏が語る。
「仲の良い夫婦は松葉のようなもので、片方が外れるともう片方も落ちてしまう。特に妻に頼りきりの男性はひとりになると何もできなくなってしまいがち。早い段階から配偶者以外の人と人間関係を築いておくことが重要です」
小谷氏によれば、配偶者に先立たれる前に「夫婦共通の友人や知人」を作っておくことが大切だという。
「共通の友人がいると、どちらかが亡くなった際に思い出話をすることができて大きな心の支えになります」
学生時代の同級生や会社の同僚ではなく、なるべく年下の友人を見つけることもポイントだ。
「年齢を重ねると同世代がどんどん亡くなっていくので年下の友人を作ることが望ましい。そのためには先輩風を吹かすのは厳禁。同じ目線で接する心遣いが求められます」(同前)
地域のサークル活動や生涯学習講座などに足を運べば新たな友人を見つけやすいという。
配偶者に頼らず生活するスキルを磨くことも欠かせない。小谷氏が勧めるのは「ひとり行動」のトレーニングだ。
「定年後、妻にどこまでも付いていく“濡れ落ち葉症候群”を避けるには、ひとりで行動する習慣を身に付けることです。特に男性は配偶者と死別すると自分が何を食べたいかすら分からず、食欲が減退して衰弱するケースが多々見られます。何も考えなくても食事が出てくるものと思っていると、何を食べたいのかすら思い付かなくなる。夫婦で元気なうちからお昼ご飯くらいは各々好きな物を買ってきて食べるようにすると、その訓練になります」(同前)
