当初は「ユニークな学生」が合格していた推薦入試
東大の推薦入試も初期の頃は、アカデミックな実績がなくても「ユニークな学生」をとっていたはずだ。そのため、中堅高校からの合格者も目立った。
東大の推薦が開始した当初、東大のある教授が「教養があって文化資本が高い生徒が欲しいんだ」とSNSに投稿していた。小学校から塾で受験ノウハウを詰め込まれてきただけの学生ではなく、本を読み教養を蓄えてきた学生がほしいという意図だったのだろう。
そうした考えのもとなのか、中堅高校出身でもユニークなバックボーンを持つ学生や個性を感じさせる学生が合格していた。しかし、文化資本が高いように見えたユニークな学生が、入学後、成績が芳しくなかったのかもしれない。そうなると、結局、学力を重視して選抜する必要がある。
東大推薦は「全国優等生大会」と教育関係者の間で呼ばれている。各都道府県の最難関高校でオール5に近い評定平均値を持ち、共通テストで高いスコアをとる学生は「学力が十分にあり真面目」であろう。進路指導の先生が自信をもって推薦してくる優等生は、大学で真面目に勉強し、きちんと就職をしていくだろう。
そして、この「推薦入試での学力重視」という傾向は東大だけではない。多くの難関大学や中堅大学でもこの傾向は強まっている。ようは「尖った学生をとろう」とすると、「尖ったふりが上手い学生」を入学させてしまうことになってしまうからだ。彼らは入学後のパフォーマンスが振るわないのだろう。
この既存の東大の学校推薦型選抜が「全国優等生大会」になっていったように、新学部のカレッジ・オブ・デザインの入試もゆくゆくはそうなっていくのかどうか──。動向を注目したい。
※参考 ダイヤモンド教育ラボ 『70年ぶりの東大新学部は推薦入試のみ! 大学の「平均的な学生を求めていない」発言は実現するか?』(2025年12月3日配信)
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(ともに青春出版社)も話題に。『ハナソネ』(毎日新聞社)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)、『東洋経済education×ICT』などで連載をしている。受験の「本当のこと」を伝えるべくnote(https://note.com/sugiula/)のエントリーも更新中。