アイデミーは東証グロース上場時、公募価格1050円に対して5560円の初値を付けた(提供写真)
アイデミーは「AI人材育成」を切り口に、オンライン学習サービスを展開。当初は学生向けを想定したが、蓋を開けると社内でデジタル人材を育成したい企業のニーズが多いことがわかり、BtoCからBtoB中心の事業に切り替えて、急拡大するAI市場とともに成長を続けた。VCやエンジェル投資家らのサポートを受けて10億円の資金を調達すると業績はさらに拡大し、石川氏は米誌『フォーブス』が“世界を変える30歳未満の30人”と認める「Forbes 30 under 30 Asia 2021」に選出された。
迎えた2023年6月、アイデミーは東証グロース市場に上場した。結果は前述の通りで、2023年に上場したおよそ100銘柄のなかで、初値高騰率トップに輝いた。
保有時価総額100億円に到達した時の思い
「時価総額はアイデミーがより大きな成長をすることへの期待の表われと感じ、背筋が伸びる思いでした。これだけの資金があればM&Aなど大きな挑戦もできると思い、アイデミーの経営戦略が多角化することへのワクワク感もありました」
アイデミー株の高騰で石川氏が保有する株の時価総額は一気に100億円を超えた。一般人なら震え上がるような大金だが、現実感はなかったと当人は打ち明ける。
「あくまで株の時価総額で、あの価格では1株も売っていない。幻想の数字ですよ。実感は全然なかった。ゲームのポケモンのレベルが100になったのを見た瞬間みたいな感じで、嬉しいけどそこまで……みたいな。
当時は売上が20億円なく利益も数億円のフェーズだったので、いかにしてそれらを大きくするかを考えなくてはいけなかった。ちょっと喜んだあと、すぐプレッシャーがかかって仕事のことを考えました」
上場によって誰もが羨む大金を手にした石川氏だが、その歩みは止まらない。2025年にはさらに大きな変化が石川氏とアイデミーを待っていた。関連記事《アイデミー石川聡彦社長が語る「アクセンチュア傘下入り」の狙い 創業者としての思いから、同世代の経営者と語り合う「危機感」、そして長期的な夢までを語り尽くす》では、スタートアップ経営者としての石川氏の歩み、起業家仲間との交流のなかで話し合っていること、そして昨年のアクセンチュア子会社化に至る自身の考えや決意について石川氏が語っている。
【プロフィール】
石川聡彦(いしかわ・あきひこ)/1992年、神奈川県生まれ。東京大学工学部卒。2014年にアイデミーの前身企業を創業。2017年、AIエンジニア育成オンライン学習サービス「Aidemy」をリリース。2023年、東証グロース上場。2025年、アクセンチュアによるTOBを経て同社の完全子会社となり、同社ビジネス コンサルティング本部マネジング・ディレクターに就いた。著書に『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』(KADOKAWA)など。世界を変える30歳未満の30人「Forbes 30 Under 30 Asia 2021」に選出。
取材・文/池田道大(フリーライター)
