アメリカ産ガスを欧州に転売して高い利益を得る
次に、習主席が見せるさらなる巧妙な手口が、アメリカ産ガスの転売だ。中国はアメリカと大量のガスを買う契約を結んでいるが、米中間の関税問題などがあり、アメリカ産のガスを中国国内に持ち込むと高い税金がかかってしまう。そこで習主席は、アメリカから買ったガスを中国へは運ばず、直接欧州へ送るという方法をとった。
現在、欧州はロシアからのガス供給を2027年から全面禁止する段階的措置を採択しており、移行期として輸入を継続中だ。ただし依存度が大幅に低下した影響で、ガス価格は依然として高止まりしている。習主席は、自国では使わないアメリカ産のガスを、欧州へ高い値段で売りつけている。安く手に入れた権利を、他国のエネルギー事情に付け込んで高く売る。まさに転売ヤーという振る舞いである。習主席は、欧州の苦境を背景に、莫大な利益を積み上げている。笑いが止まらないとはこのことだろう。
ロイター通信は2月23日配信の記事“US LNG export surge and soft China demand meet record European imports”(米LNG輸出急増、中国需要軟化が欧州の輸入記録更新を支える)で、次のように報じている。
〈中国の国内需要が振るわない中で、米国産の液化天然ガス(LNG)が欧州へと大量に転売されている。2026年2月の欧州における輸入量の57%が米国産であり、中国企業が契約分を欧州へ振り向けたことが、欧州の輸入記録更新を後押ししている。中国の国有エネルギー大手は、米中間の関税問題を回避しつつ、欧州の高値を活用して利益を確保する動きを見せている。欧州でのガス価格は100万BTUあたり12ドルから13ドルと高く、中国側は戦略的に資源を動かしている〉(筆者訳)
中国の戦略は、非常に計算高い。中国国内ではロシアからの安いガスを使い、海外ではアメリカ産のガスを高く売って利益を得る。習主席は、世界のエネルギー不足をビジネスのチャンスに変えてしまった。さらに、習主席は「シベリアの力2」という新しいパイプラインの計画も進めている。ロシアへの依存を深めるふりをしながら、実際にはロシアを中国のエネルギー供給網に完全に組み込み、さらに安い価格を要求しようとしている。傍目には、いかにして他国から利益を奪うかという、徹底した利己主義だけがあるように見えてしまう。