日本は約85兆円の対米投資を計画している(写真はトランプ大統領と高市早苗首相。時事通信フォト)
約85兆円の対米投資の第1弾として、総額約5.5兆円規模の3案件が決定。その一つが、約900億円(約6億ドル)を投じる「人工ダイヤモンド製造施設の建設」だ。この案件から影響を受ける銘柄はどのようなものがあるのか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が分析し、解説する。
「第2のレアアース」と呼ばれる理由
株式市場に大きなテーマが生まれた。日本の対米投資第1弾として、総額約5.5兆円規模の3案件が正式決定。その一つに選ばれたのが、約900億円(約6億ドル)を投じる「人工ダイヤモンド製造施設の建設」である。
しかし、この強力な国策の発表直後、日本株の関連銘柄は「急騰組」と「急落組」に真っ二つに分かれて乱高下を見せた。今回は、いま市場で最も熱い「人工ダイヤモンド銘柄」の現在地と、注目すべき企業の動向を検証してみよう。
そもそもなぜ今、人工ダイヤが「第2のレアアース」と呼ばれるのか?
ダイヤモンドは地球上で最も硬い物質である。市場に流通するダイヤモンドの約7割は、半導体を薄く切り出す刃や金属を削る砥石など「工業用」として使われており、現代の製造業を根底から支える不可欠な基盤材料となっている。
さらに現在、電気自動車(EV)や量子コンピューター向けの次世代デバイスとして、シリコンを凌駕する性能を持つ「ダイヤモンド半導体」の研究が世界中で進んでいる。福島県大熊町では世界初の商用量産工場を目指すプロジェクトも動いており、もはやハイテク産業全体の競争力を左右する「戦略素材」へと進化した。
しかし、現在、世界の人工ダイヤモンド生産量の6~9割を中国が握っており、輸出管理強化の動きも報じられている。まさに「第2のレアアース」として大きな供給リスクが警戒される中、中国依存を脱却し、日米間でサプライチェーンを構築することが急務となっている。
こうした危機感を背景に決定したのが、今回の米・ジョージア州での製造施設建設(英国系素材メーカー・エレメントシックス社との連携)だ。この発表を受け、市場では関連銘柄が大きな注目を浴び、株価は乱高下を見せた。
同発表直後に明暗が分かれた、人工ダイヤモンド関連の注目銘柄をピックアップして紹介しよう。
「購入関心企業」として社名明記
【旭ダイヤモンド工業(6140)】
同社は国策の恩恵を直接受ける大本命といえる企業である。1937年創業のダイヤモンド工具専業メーカーで電子・半導体や自動車業界向けに工具を供給しており、人工ダイヤはまさに自社製品の「命」とも言える基幹原料である。
今回の米国プロジェクトにおいて、経産省の発表資料に「購入関心企業」として社名が明記されたことで株価が急騰した。足元の通期見通しは減益予想であるものの、原料の安定・安価な調達が実現すれば利益率は大きく改善する期待が持てる。AI半導体向けの需要拡大も重なり、今後の業績成長に強い期待が集まっている。
