液化天然ガス(LNG)をめぐる、中国のしたたかな戦略とは(Getty Images)
世界各国でエネルギーをめぐる争いが続いている。そうしたなかで存在感を示しているのが中国だ。国際情勢が不安定ななかで、液化天然ガス(LNG)をめぐるしたたかなディールで自国の利益を最大化しようとしている。中国のエネルギー戦略について、イトモス研究所・小倉健一氏が解説する。
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2026年、エネルギーをめぐる世界各国の争いは、ますます激しさを増している。ガスや電気といった資源は、国を動かすための血液だ。血液が止まれば、経済も生活も立ち行かなくなる。現在の厳しい状況の中で、中国が見せる動きは、したたかで、どこか恐ろしささえ感じさせるものだ。中国の習近平・国家主席が率いる指導部は、世界中のエネルギー市場を舞台に、まるで転売ヤーのように立ち回っている。習主席は、他国の窮地を利用して自国の利益を太らせる、計算高い戦略を推し進めている。
現在、中国は世界で最も多くの液化天然ガス(LNG)を輸入する国としての地位を固めている。しかし、中国の目的は単に自国でガスを使うことだけではない。習主席が狙っているのは、世界のエネルギー価格の差を利用して、莫大な利益をかすめ取ることだ。世界中の国々がエネルギー不足に苦しむ中で、中国だけが一人勝ちを続ける構図が作り上げられている。
まず、ロシアとの関係を見てみよう。ロシアは今、西側諸国からの制裁を受け、資源を売る相手を探して追い詰められている。習主席は、ロシアの弱みを見逃さない。シベリアの力というパイプラインを通じてロシアから送られてくる天然ガスを、習主席は驚くほど安い価格で買い叩いている。ロシア側は、売る相手がいないため、中国の提示する厳しい条件を飲まざるを得ない。中国がロシアから輸入するガスの価格は、国際的な相場よりも圧倒的に低く抑えられている。習近平は、隣国の苦境を最大限に利用し、自国のエネルギー費用を極限まで下げている。協力といった言葉の裏で、利益を吸い上げる習主席の姿がある。
