あらためて問われる復興政策のあり方(石巻南浜津波復興祈念公園と震災遺構の門脇小学校。時事通信フォト)
2011年3月11日に起きた東日本大震災から15年が経った。1.9兆円規模の復興予算を使って被災した街の立て直しが進んでいるようが、その一方で財政負担の増大も深刻化している。復興において、インフラ復旧に注力することがはたして正解なのか。イトモス研究所・小倉健一氏が、東日本大震災後の復興についての論文をひもときながら、あるべき復興政策を提言する。
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東日本大震災後も、日本各地で大きな災害が起きている。被災した街をどのように立て直すかという問いに対して、私たちは明確な答えを見つけられずにいる。
2024年1月1日に発生した能登半島地震から、2026年現在で約2年が経過した。しかし、被災地の経済回復はまだ道半ばである。人口の流出や産業の停滞、そして壊れたインフラを直して維持する負担が深刻な影を落としている。主に石川県の奥能登と呼ばれる輪島市や珠洲市などで被害が集中した。地域にある建物や設備といった資産の損失額は約2.2兆円に上り、地域全体の25%に相当すると推計されている。
輪島市や珠洲市では、人口の減少率が15%を超えた。働き手となる現役世代が街から離れる動きが加速している。医療の現場でも、看護師が震災前よりも2割減少し、救急医療を続けることすら危ぶまれている。人と人とのつながりが失われることは、地域でお金が回る基盤を弱くし、復興を阻む大きな壁となっている。能登の経済を支えてきた和倉温泉などの観光業も、被災した旅館で再開できた場所は半数に満たない。宿泊施設の多くが営業できない状態にある。農業や漁業も、地面が隆起して港が使えない状態が続き、漁に出られない状況が長期化している。事業を諦める企業も相次いでいる。
土地の価格が下がった地点の下位10か所は、すべて能登地方に集中している。再び災害が起きるリスクや、建物を建て直す費用の増加が原因である。賃貸マンションなども空室が増えると予想され、経済の停滞が長引く恐れがある。生活を立て直すための地震保険の支払い額は約910億円に達したが、保険に入っていた人の割合は3割前後にとどまり、資金不足に悩む被災者は多い。水道の断水が一部で続くなど、工事の難航に対する不満は大きい。SNS上では、万博を優先して被災地への支援が足りていないという声や、NPOやボランティアに頼りすぎているという批判が上がり、石川県知事選挙で現職知事が落選する結果につながった。
