住まい・不動産

郊外のマイホームは誰のため? 物置部屋だらけの一戸建ての悲哀

そして我が家は“物置部屋”だらけになった

 ニューファミリーが集う地区で新たな生活を始めたタカヒロさん一家だったが、現実は思い描いたものとは違っていたようだ。タカヒロさんが語る。

「父親は、“緑のある豊かな生活”みたいなキャッチフレーズに惹かれて引越し先を選んだみたいなんですが、ボクはもう友達と公園で遊ぶような年齢ではなかったので、『それより駅から近いほうが重要だよ』って思ってました。たしかに家は広くなりましたけど、学校まで1時間半近くかかるようになったので、通学もウンザリでした」

 それでも遠距離通学を続けながらマジメに勉強し、現役で有名私大に合格したタカヒロさん。しかし大学に入学した途端、我が家は「寝るだけの場所」に成り下がる。

「大学では運動部に入ったので、部活で遅くなることが多く、飲み会などもあるので、終電で帰って寝るだけか、友達の家に泊めてもらうかのどちらかでしたね。そして就職したら、残業で遅くなることが多いので、すぐに一人暮らしを始めてしまい、今に至っています」

 ちなみにタカヒロさんは3兄弟の長男。2つ下の弟や4つ下の妹も似たような経緯をたどり、一人暮らしをしているという。タカヒロさんの自宅は今、どうなっているのか?

「今は5LDKの一軒家に両親だけが暮らしており、兄弟3人の部屋はただの物置部屋になっています。父親はガラーンとした我が家で寂しそうにしており、母親は『掃除が大変』といつもボヤいています。夫婦2人で大きすぎる家を明らかに持て余している状態です。

 兄弟でよく話すんですよ、『住む順番が逆だったよね』って。『小学校の頃は郊外で過ごして、友達と公園とかで遊んで、高校とか大学生になったら、狭くても良いから都心の社宅に住みたかったよね』っていつも言っています」

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