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医心伝身プラス 名医からのアドバイス

【膝痛治療の最前線】「人工関節」は「人生100年時代」で再手術のリスクも 関節鏡による「注いで固める」軟骨再生治療への期待【専門医が解説】

「モチジェル」を欠損部が周囲の軟骨と同じ高さになるまで注入する(内視鏡画像)

「モチジェル」を欠損部が周囲の軟骨と同じ高さになるまで注入する(内視鏡画像)

「人工関節の耐用年数」とこれからの課題

 現在、「モチジェル」の保険適用範囲は「1平方センチメートル以上3平方センチメートル以下の膝軟骨損傷」および「1平方センチメートル以上1.5平方センチメートル以下の肘軟骨損傷」に限定されています。高齢の患者さんから「加齢による変形性膝関節症の治療に使えないか」という切実な声を多くいただきますが、この疾患は軟骨損傷の範囲が非常に広いため、軟骨修復材だけでの治療は容易ではありません。

 変形性膝関節症に対しては、現在「人工関節置換術」が広く普及しています。技術の進歩により人工関節の性能が向上しているため、手術後は痛みから解放され、杖なしで歩けるようになる方も少なくありません。しかし、大きな課題となるのが人工関節の「耐用年数」です。平均寿命が100歳に迫る現代において、20~30年とされる人工関節の寿命は決して長くありません。例えば60歳で手術を受けた場合、90歳や100歳で再手術が必要になる可能性があり、その年齢での身体的負担は無視できないものとなります 。

治療から「温存・予防」の時代へ

 今後の医療に求められるのは、「いかにして自分自身の関節を温存するか」という視点です。さらに将来的には、軟骨の変性を未然に防ぐ「予防医学」へのシフトが不可欠になるでしょう。軟骨を守るための薬剤や注射、そして、効果的なリハビリテーションや運動療法の確立には、まだ大きな可能性が残されています。私たちは、患者さんが一生自分の足で歩き続けられる未来を目指し、研究を続けていきます。

■前編記事から読む:【膝痛治療の最前線】身体へのダメージが少ない低侵襲の膝軟骨再生治療とは? 海藻由来成分を使った「細胞を使わない再生治療」への取り組み【専門医が解説】

「将来的には、軟骨の変性を未然に防ぐ予防医学へのシフトが不可欠」と語る岩崎倫政教授

「将来的には、軟骨の変性を未然に防ぐ予防医学へのシフトが不可欠」と語る岩崎倫政教授

【プロフィール】
岩崎倫政(いわさき・のりまさ)/北海道大学大学院医学研究院 機能再生医学分野整形外科学教室教授。 1988年旭川医科大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科修了、医学博士。米国ジョンズ・ホプキンス大学整形外科への留学を経て、2010年より現職。専門分野は上肢外科、スポーツ整形外科、軟骨再生、バイオメカニクスなど多岐にわたる。長年にわたり運動器疾患の治療と研究に従事し、軟骨代謝やバイオマテリアルを用いた再生医療の最先端研究を推進。現在は、機能再生医学の発展と次世代の整形外科医の育成に尽力している。

取材・文/岩城レイ子

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