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少子化が進む中でなぜ新設大学ができるのか

地元では「この大学は不要です」と厳しい声も… 佐賀県の新設大学の“定員充足率26.4%”騒動の本質とは? 「大学を作れば若者が地元に残る」という幻想

県民から「この大学は不要です」との厳しい声も

 佐賀県の公式サイトでは、武雄アジア大学新設に対して「県民の税金を適当に使わないで下さい。佐賀県民としてこの大学は不要です」という意見を掲載している(2025年10月25日)。この意見に対して、政策部広報広聴課は、次のように回答している

〈地方にとって大学は、地元高校生の進学先確保や、地域を支える人材の育成を担うだけでなく、地域社会の維持や、地域そのものが時代の変化に対応し、発展していくうえで必要不可欠な存在と考えております〉

〈毎年、大学進学時に3千人近くの子供たちが県外に出ている状況です。佐賀県を離れたくない、県内で学びたいと思っている子供たちのためにも、県では、高等教育機関を充実させていく必要があると考えています〉

 佐賀県では、ほとんどが高校を卒業すると県外に進学してしまう。大学を誘致することで、地元の建設業者は仕事を受注でき、大学職員などの雇用が生まれる。

 武雄市からすれば、地元の高校生が武雄アジア大学に進学してくれ、地元で就職してくれたらという期待もあった。また、県外からも高校生が集まってほしいという思いもあっただろう。

「夢を見てしまうのでしょう」(前出・石原さん)

 多額の公金を投入して新規大学を作ったのだから、市場調査もしっかりと行い、ゆえに国から認可されたはずだ。しかし、傍目から見たら、「厳しかったのでは」と思える部分もあろう。武雄市の出生数は2023年で283人だ。そういった少子化が著しい場所で、医学部ならまだしも、経営学系の1学部(東アジア地域共創学部)のみの大学を作って学生を集めるのは難しかったのではないか。

 もちろん、地方の少子化が進む地域にも大学は必要だ。地元の大学にしか進学できない学生もいるし、地域社会もその大学から新卒採用ができる。しかし、大学を作るならば、開校後、学生を確保できるかの緻密で現実的な事前調査が必要である。そのことを再認識させられたのが、今回の武雄アジア大学の「定員充足率24.6%」騒動だったのではないか。

▼▼▼前編記事▼▼▼
【はじめから読む→】少子化が進み「私大の定員割れが6割」の時代になぜ新規大学ができるのか? その答えは「国の認可の仕組み」にあった

【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(ともに青春出版社)も話題に。『ハナソネ』(毎日新聞社)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)、『東洋経済education×ICT』などで連載をしている。受験の「本当のこと」を伝えるべくnote(https://note.com/sugiula/)のエントリーも更新中。

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