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少子化が進む中でなぜ新設大学ができるのか

少子化が進み「私大の定員割れが6割」の時代になぜ新規大学ができるのか? その答えは「国の認可の仕組み」にあった

武雄アジア大学の定員充足率が注目を集めている(同大学の公式サイトより)

武雄アジア大学の定員充足率が注目を集めている(同大学の公式サイトより)

 私立大学の半数以上が定員割れとなっている一方で、新設大学も開校している。そのうちの一つ、佐賀・武雄アジア大学は、定員充足率が26.4%という低さで話題になっている。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする。

子供の数が減り続けているのになぜ新規に大学を作るのか

 少子化が進み、18歳人口が減っている。そのため、2024年度の私立大学の59.2%が定員割れとなっている。にもかかわらず、大学の数は増えており、2026年度も5大学が新設された。

 その中で、佐賀県武雄市で開学した武雄アジア大学の定員充足率が注目されている。定員140人に対して、入学式の時点での1期生は37人。定員充足率は26.4%。学部は「東アジア地域共創学部」という経営学系の1学部のみ。観光やK-POPなどについて学べるという。

 この武雄アジア大学の「定員充足率26.4%」という数字に大きな反応があったのは、多くの人たちがこう思ったからだろう。なぜ、子供の数が減りつづけ、既存の私立大学の6割が定員割れをしているのにかかわらず新規で大学を作るのか――。その疑問を解くべく、駿台予備学校出身の教育ジャーナリスト・石原賢一さんに話を聞いた。

 石原さんは、まず認可の制度について、次のように解説する。

「大学を新設するには国の認可が必要ですが、条件をクリアしていたら認可しなくてはいけない制度設計になっています」(石原賢一さん)

 審査には教員数・学位保有率・キャンパス面積・財務基盤、学生の確保の見込みなどの数値基準が中心で、それをクリアすれば、原則として認可しなければならない仕組みなのだ。大学の新設の認可に関しては過去にこんな騒動があった。

田中真紀子氏が文科相時代に起こった大学認可騒動

 2012年の民主党政権下で、文部科学省の審議会が新規開学を「可」とする答申を出した3つの大学があった。その3つの大学の新設を、当時の田中真紀子・文部科学大臣が「見送り」にしようとした。審議会が認めても、大臣が判を押さなければ、認可はおりない。

 田中氏は「大学が多すぎる。質が担保されているのか」「認可の判断を審議会に任せていていいのか。審査がルーティンワーク化している」といった問題意識を示し、審議会の答申を覆したわけだ。

 規制緩和で大学の数は増えつづけ、2012年の段階で私立大学の定員割れも目立っており、私学助成金は膨らみつづけていた。こうした事態を疑問に思う人も多かったようで、田中氏はそうした民意を反映させた行動をとったわけだ。

 ところが、この田中氏の行動への反発は大きかった。大学の認可は、文科省の専門審査の答申を踏まえて進むため、大臣の政治的な判断で止められたことが制度の根幹を揺るがすと批判されたのだ。また、大学側、自治体からも強い反発があり、結局、政府からも再検討を急ぐべきという声が出て、3大学の新設は認可され、2013年に開校している。

 これにより、条件をクリアし、審議会でオッケーが出たら、国は大学の新規開校を認可せざるをえないということが再認識された。

次のページ:地元のニーズをとらえ定員を充足させる新設校も

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