占い市場にお金が集まる理由はサービス利用者の特徴にある
では、細木数子さんのような特別な才能を持った個人がいなくても、占いという産業自体は現在も儲かっているのだろうか。答えは間違いなくイエスである。
矢野経済研究所が2023年度に行った調査によると、占いサービスの市場規模は約1000億円に達すると推計されている(矢野経済研究所, 2024年)。約1000億円という金額は、他の娯楽産業と比べても決して小さくない。形のない占いというサービスに、日本中の人々が毎年これだけのお金を払っているという事実は、占いビジネスがしっかりとした土台を持っている証左と言えるだろう。
現代の占いの世界では、お客さんがお金を払うポイントが少し変わってきている。インターネット上にある無料の占いや、機械が自動で結果を出すアプリには、実のところあまり大きなお金は動いていない。お客さんが価値を感じて高いお金を払うのは、占い師と直接話す対面鑑定や電話相談、インターネットを通じた個人間のやり取りである。誰かに悩みを直接聞いてほしいという気持ちが、直接大きなお金に変わっているのだ。
占い市場の周辺には、巨大なお金が動く世界が広がっている。パワーストーンやヨガ、自己啓発といったスピリチュアル関連の市場規模は、なんと4兆2418億円にも上るという(矢野経済研究所, 2024年)。占いを受けた人が、より深い安心を求めて高価な石を買ったり、セミナーに参加したりする流れができあがっているのだろう。占いは、巨額のお金が動く大きな世界への入り口として機能していると言える。
占いにこれほどのお金が集まる理由は、サービスを利用する人々の特徴にある。矢野経済研究所(2024年7月)のデータを見ると、占いを利用するお客さんの約90%が女性である。年齢別に見ると、30代から50代の女性が全体の約80%を占めている。
約1000億円の占い市場は、特定の年齢層の女性たちによって力強く支えられていることになる。相談内容の約85%は、恋愛や男女関係の悩みであるという。30代から50代は、結婚や仕事、家族の関係などで、人生の大きな決断を迫られる時期である。誰にも相談できない複雑な悩みを抱えたとき、客観的な視点から話を聞いてくれる占い師という存在が強く求められるのだ。現代の日本社会には、経済の不安や将来への心配が渦巻いている。一人では抱えきれない不安を少しでも軽くしたいという願いがある限り、占いを求める人は後を絶たないだろう。