首都圏を中心に中学受験の人気は高止まりしている(イメージ)
首都圏の中学受験率は高止まりし、私立中高一貫校への関心も深まっている。一方で、「中学受験をさせるべきか、それとも高校受験でよいのか」と悩む家庭も少なくない。どのような観点で考えればよいのか。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする。【前後編の前編】
目次
中学受験と高校受験、どちらにするか悩む家庭が増えている
2026年の首都圏模試中学受験率は18.06%と過去3番目の高さであった(ONETES、旧首都圏模試センター調べ)。なぜ中学受験は人気なのだろうか。Z会の教室を運営するZ会エデュースの高畠尚弘さんはこう話す。
「高校無償化で私立校に通わせる経済的な負担が減ったことに加えて、私立中学が積極的に情報を発信していることも理由となり、中学受験を検討する保護者が増えてきました」
Z会の教室は中学受験対策も高校受験対策も行っている。
「中学受験と高校受験のどちらかにするか悩むご家庭も増えており、両方の入試の特徴をご説明する講演を行っていますが盛況です」(高畠さん、以下同)
今回は中学受験のメリットとデメリットを見ていきたい。
得意科目を生かしやすいのが中学受験
「中学受験は一教科、特に算数が得意なら突破しやすいのが特徴です」
中学受験で最も差が出る科目が算数だ。そのため、算数が得意だと合格しやすいという特徴がある。これは多くの大手塾でも同様の認識をしており、どこの塾も算数の対策に力を入れる。
また、巣鴨、世田谷学園、高輪といった男子校はどこも東京大学の合格実績を出しているが、これらの3校も算数一教科入試を行っている。これらの算数入試で入学した生徒は「一教科のみで受験を突破して、中学入学後は大丈夫か」と心配になる家庭もあるかもしれないが、そこは学校側が面倒見よくしっかり他の教科も伸ばしてくれる。女子校でも普連土や富士見といった大学進学実績をきちんと出している学校でも算数一科入試を実施している。東京女学館や恵泉といった伝統校は2教科入試を行っている。
4教科入試の学校を見ても慶應の中等部、慶應の湘南藤沢は国語と算数に比べて理科と社会の配点が少ない。麻布、海城、桜蔭、雙葉などの最難関校も国語と算数に比べて理科と社会の配点が少ない。麻布は社会も記述中心で知識量を問う内容ではない。そうなると、国語と算数で点数がとれれば合格することもある。実際、2026年度入試で“社会の偏差値が38”で麻布に受かった生徒もいたという。
このように、特定の教科で一点突破して合格することができるのは、中学受験のメリットの一つと言えるだろう。
また、中高の6年間を一貫して成長させてくれるということも、中学受験ならではのポイントだ。
「イソップの童話で『うさぎとかめ』という童話があります。足が速いうさぎが昼寝をして怠けているうちに、かめに追い越されるという話です。このうさぎ型の生徒が童話と違い成長し続けるように、人間性や学力をしっかり伸ばしてくれるのが中高一貫校です」
入学後、生徒を成長させる力は中堅校も持っている。
「かつては中学受験は『大学受験に有利だからさせる』というご家庭がほとんどで、少しでもレベルの高い学校に入れたという志向が強かったですが、今は『うちの子とマッチする学校に入れたい』という方針が増えています。グローバル教育やSTEAM教育(科学・技術・工学・芸術・数学の5つの領域を横断して統合的に学ぶ教育手法)など、お子さん本人の将来の目標に合わせた学校を選ばれます。一つでも偏差値が高い学校へ行かせたい、偏差値60以上の学校に受からなかったら公立中学に進学して高校受験をさせる、というケースは減っています」
