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森口亮「まるわかり市況分析」

投資家を襲った「フジクラショック」の悪夢 低レバレッジの信用取引でも追証が発生…知っておきたい“保証金維持率の仕組み”と“自分が許容できるリスク範囲”

フジクラ(5803)で何が起きたのか

 2024年5月14日、大手電線メーカーであるフジクラ(5803)は決算を発表しました。しかし、その内容は市場の期待に届かず、発表直後から株価は急落。

フジクラ日足チャート 決算発表は5月14日の14:00だった。TradingViewより

フジクラ日足チャート 決算発表は5月14日の14:00だった。TradingViewより

 わずか4営業日で約47%もの大幅な下落を記録しました。「フジクラショック」とも言われたこの急落は、多くの投資家に衝撃を与え、特に信用取引でフジクラ株を保有していた投資家にとっては、まさに悪夢のような事態となりました。

 フジクラの事例では、決算発表という特定のイベントが株価の急変を引き起こしました。市場の期待値と実際の決算内容との乖離が大きかったことが、大量の売り注文を誘発し、株価の暴落につながったと考えられます。

 株価が下落する中で、追証が発生した投資家が強制決済を避けるために建玉を売却せざるを得なくなり、それがさらなる売りを呼び、株価の下落スパイラルを引き起こした可能性も指摘されています。

「レバレッジを低く抑えている」つもりが一番危ない

「自分はレバレッジを低く抑えているから大丈夫」と考えている投資家の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、フジクラの事例は、そうした認識がいかに危険であるかを教えてくれます。

 例えば、決算前日(5月13日終値付近)、保証金50万円に対し、レバレッジ1.56倍(約78万円分)の買いポジションを持っていたとします。

フジクラ日足チャート。TradingViewより

フジクラ日足チャート。TradingViewより

 一見すると、レバレッジは低いように思えますが、株価が47%下落すると、約36万円の含み損が発生します。

 この含み損は保証金から差し引かれるため、実質の保証金は14万円にまで減少してしまいます。その結果、維持率は17.9%まで低下、最低維持率の20%を割り込んでしまい、追証が発生する事態となります。

 このシミュレーションが示すように、株価が大きく変動した場合、当初は低かったレバレッジが、含み損の拡大によって実質的に跳ね上がり、維持率が急速に悪化することがあります。

 市場の変動は常に起こり得るものであり、信用取引を利用する以上、常に追証のリスクと隣り合わせであることを認識しておく必要があります。

次のページ:最も怖いのは「信用売り」の青天井

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