なぜ安置室が重要なのか
私が葬儀社の安置室に興味を持ったのは、『首都圏病院ランキング:トイレでわかる「良い病院」「悪い病院」』という本に出会ったことがきっかけです。
通常、病院の評価は病床数や手術件数、最新機器の有無などの観点から語られることがほとんどです。しかしこの本は病院のトイレだけを見て、その病院のレベルを評価していました。病院のトイレは、患者や家族が日常的に使う大切な場所です。そのように目立たないが大切な場所に力を入れている病院は、きっとスタッフや設備のレベルも高いであろうという考え方に基づいて、トイレで病院を評価していたのです。
この本を読み終えた時、病院のトイレに相当するのは、葬儀社の場合、安置室ではないかと考えました。安置室は、故人や遺族が最後の時間を一緒に過ごす大切な場所です。そのような場所に力を入れている葬儀社は、きっと良い葬儀社なのではないか、という仮説を立てました。その後、数十社の葬儀社を回って検証した結果、やはり良い安置室を持っている葬儀社は、スタッフや施設が優れているという結論に達しています。
安置室のどこに注目すべきか
もし皆さんが、事前相談や参列などで葬儀社や葬儀会館を訪問する機会があれば、ぜひ安置室を見学させてもらい、以下のポイントを観察してください。
まず、安置室が個室になっているかどうか。これが故人とゆっくりお別れをするうえで、一番重要です。中には、コンクリート打ち放しの部屋に複数の棺をただ並べている葬儀社もいます。もっとひどいケースになると故人を棺に納めたまま、備品などを格納している倉庫に安置する葬儀社もいます。当然これでは、故人を大切にしているとは言えません。
またその個室は、最低でも4畳ぐらいの広さは確保できているのが好ましいです。なぜなら親族や親しい人が、複数で弔問に訪れることもあるからです。
それからトイレがバリアフリーかどうか。弔問の方には高齢者が多く、その配慮ができているかどうかを確認するためです。次に、部屋がきれいかどうかです。安置室ではお線香を使うことが多いので、灰などで部屋が汚れやすいのです。掃除がちゃんと行き届いているかどうかを確認しましょう。
部屋が静かかどうかも確認してください。施設によっては安置室が同じフロアに複数ある場合もあります。防音はしっかりと行われているでしょうか。落ち着いてお別れができるかどうかの大切な要素です。
最後に、時間を気にせず自由にご遺体と対面できるかどうかです。理想を言えば24時間いつでも対面できることが好ましいですよね。