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田代尚機のチャイナ・リサーチ
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ファーウェイが「ムーアの法則」の限界を突破できた理由 今秋には線幅3nm並みのスマホ用半導体「麒麟2026」を量産予定

ファーウェイが開発した半導体製造の新技術とはどのようなものか(Getty Images)

ファーウェイが開発した半導体製造の新技術とはどのようなものか(Getty Images)

 中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。中国のテクノロジー企業・華為技術(ファーウェイ)が開発したという、半導体製造の新技術についてレポートする。

二次元方向ではなく三次元に展開

「細密加工技術の進化により、半導体チップ上のトランジスタの集積度は1年半から2年ごとに2倍になる」といった半導体・ムーアの法則が、物理上、技術上の限界によって崩れようとしている。そうした中で、華為技術(ファーウェイ)はこの限界を破る革新的な製造技術を開発したという。今年の秋にはこの技術を完全採用したスマホ用半導体「麒麟2026」を発売する予定で、性能は理論上、Intel 18Aと同程度、初代TSMC製の線幅3nm半導体に極めて近いレベルに達するようだ。

 半導体分野における世界最大規模の国際学術会議「ISCAS 2026」が5月24~27日、上海で開催された。華為技術の半導体業務部を率いる何庭波取締役兼事業本部長は25日、「半導体の新しい道筋の探求と実践」と題した基調講演を行うと同時に、中国科学院科学論文プレプリントプラットフォーム(ChinaXiv)に論文「多階層電子システムに向けた時間縮微理論」を掲載。新たな半導体構造や、現在の開発状況、今後の開発計画などを公表した。

 現状における半導体開発の基本方針は、同じ面積の中にいかに多くのトランジスタ、抵抗、コンデンサ、ダイオードなど、様々な機能を持つモジュールを詰め込むかである。そのために微細加工技術を高めるという開発がひたすら行われている。一方、華為技術は二次元方向の超微細化ではなく、集積回路の各モジュールを三次元に展開することで半導体の性能を高めるといった方針で開発を進めたのである。

 少し説明を加えると、単位面積当たりのトランジスタ数を多くする(トランジスタを小さくするのと同じ意味)と、それに伴い必要となる抵抗やコンデンサの数も増え、さらに配線が細くなることにより抵抗が増えてしまう。時定数(τ:タウ)はR(抵抗)×C(容量)で定義されるが、これは“電流、電圧が充電、放電によって滑らかに変化する時間特性”を決定する。τが小さければ小さいほど、短時間で変化が進むことになり、つまり性能が良いことになる。

 華為技術は、“Logic Folding(各モジュールを二次元にこだわらず三次元方向にも配置する)”といった手法を使うことで、モジュール間を結ぶ配線を短くし抵抗(R)を小さくすると同時に、不要な寄生容量(C)を小さくすることに成功したのである。電気信号が通る道のりの抵抗(R)と容量(C)を計算し、τが最小になるような設計を行ったということである。

次のページ:米国の制裁が“超微細化技術以外の方法”を生んだ

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