潮目を変えたリュウジ氏の発信
歴史の長い「味の素」だが、和風だしの素「ほんだし」や「味の素KKコンソメ」「味の素KK中華あじ」などラインナップの拡充もあって、2018年まで売上は低下傾向にあったという。潮目が変わったのは2019年。宮坂氏は、ずばり「料理研究家・リュウジ氏の影響が大きい」と振り返る。
「長年にわたり、『味の素』の調味料としての利点、使い方、キーメニュー、安全性などを我々は生活者のみなさんに伝えてきました。しかし、第三者の方が良いと発信してくれることはそれまで少なかったのです。
2019年、当時Twitter(現X)で約5万人のフォロワーがいたリュウジさんが『味の素』について好意的な評価をしていることを知りました。その後、我々もレシピを作り、リュウジさんのYouTubeやXのアカウントから発信していただきました。当然こちらから依頼したものではなく、リュウジさんは自分から『味の素』を使ってくれ、アンチから攻撃されても『味の素』について発信し続けてくれました。
様々な考えの人がいるのは理解しています。ただし、正しくない情報が蔓延するのはよくない。だからこそ私たちは事実を伝え続けることは大事だと思いますし、リュウジさんのような第三者が発信をしてくれることはありがたいことです」
ちなみに同社独自の調査によると、「うま味調味料を使いすぎると味覚がおかしくなる」と考える人は、2018年は13%だったが、2025年は8.2%に。「化学的に作られている」と答えた人は、同年比で27%から18%に下がっている。
また現在、同社は『味の素』の利点発信を目的に「うま味部」と称したインフルエンサーコミュニティを始動しているが、2026年現在、ネガティブな声より応援する声が多いとのこと。「この5年で『味の素』への風向きが変わってきた」と宮坂氏は実感する。
2023年時点で若年単身層の購買データでは、100人あたりの同商品の購入金額が10年前と比較して3倍以上に増加。若年購買層を獲得でき、中長期的な未来は明るいと捉えているという。
続く記事では、「うま味調味料」にまつわる“誤解の歴史”について紹介する。
▼▼▼第2回記事▼▼▼
【つづきを読む→】味の素に聞いた「うま味調味料」にまつわる“誤解の歴史” 画期的だった「化学調味料」の名称がイメージ悪化につながった理由