日々の食卓でうまみ調味料を活用する人は多い(イメージ)
人気料理研究家のリュウジ氏は「味の素」を愛用していることを公言しているが、そうした「うま味調味料」を使うと、健康面で問題が出るという“説”を唱える人も一定数いるようだ。「味の素」の発売開始は1909年。100年以上、食卓を支えてきているにもかかわらず、今なおそうした論争が止まない背景には何があるのか。味の素の見解を踏まえて、考えてみたい。(全3回の第1回)
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「舌がバカになる」は本当か
ネット上では、「味の素の使いすぎで舌がバカになる」といった“説”も見かけることがあるが、そんなことは有り得るのか。同社のコンシューマーフーズ事業部マネージャー・宮坂文浩氏は、こう説明する。
「人間は味を感じる細胞を沢山持っていて、その細胞は約10日間かけて新しくなります。甘味や塩味など他の味と同様、味に“慣れる”ことはあるかもしれませんが、細胞が入れ替わるので、影響を受けたままということはありません」
味覚は適宜変化するものであり、「うま味調味料を使うと舌バカになる」という説は科学的根拠がないという。ただ、1960年代にアメリカで「チャイニーズ・レストラン・シンドローム」という言葉が登場した。中華料理店に行った後、全身の脱力感と動悸などが見られ、その原因がうま味調味料ではないか、というコラム(論文ではない)が医療誌に掲載されている。以来、アメリカの料理店や小売店では「NO-MSG(うま味調味料不使用)」を謳う例も出てきた。また、ネット上では「化学調味料を食べると舌がヒリヒリする」という声も目にする。
同社品質保証部マネージャーの久保聡氏は、これらの件について、次のように語る。
「舌がヒリヒリするということについて、科学的に検証された報告はありません。とはいえ、そのようにおっしゃる方がいらっしゃいます。うま味調味料の成分と食材に含まれるうま味成分は化学的に同じもの、という理解が進んでおらず、『うま味調味料の成分は普段の食事では口にしていない』と思われているのかもしれません。実際には、様々な食材の中にうま味成分が含まれており、うま味調味料を使わない場合でも口にしているのですが……」(久保氏)
