金歯1個、売ったらいくらになるのか?(イメージマート)
今ではありえない、海外赴任していた父からのお土産
これからますます、空き家問題が社会的なテーマになっていくでしょうが、親の家を片付ける時は、この男性のように何か掘り出し物が出てくる可能性は案外あるんじゃないかと思います。実際、骨董店から聞いた話では、特に田舎の名家では、蔵の中からとんでもない逸品が出てくることもあるとも聞きます。
ちなみに私の実家にも、かつては“お宝”になりそうなものがありました。それは1983年、インドネシア赴任から帰国した父親が持って帰ってきた、巨大な黒檀のヒンドゥー教の仏像と、鼈甲です。鼈甲といっても、加工品ではなく、一匹の巨大亀(タイマイ)の甲羅です。
タイマイは絶滅のおそれがある野生動植物として保護されており、現在はワシントン条約の規制により、海外からの持ち込みや持ち出しや厳しく制限されています。でも、当時はお土産として持ち帰ることが可能だったのです。いまヤフオクで鼈甲関連の検索をしてみると、かんざしが最高400万円、123万円のメガネフレームもあったりする。もちろん鼈甲の質にもよるとは思いますが、母親が家にモノを増やすのが嫌いな性格で、自宅に来た人に「欲しいなら持って帰って」と言いまくり、しばらくして仏像も鼈甲も我が家からは消えました。
それに凝りた父は、その後母が怒りそうな“余計なモノ”は買ってこなくなりましたし、母は母で常にミニマムな生活をしている。そのため、私が実家の片付けに悩むことはなさそうですが、男性の話を聞いていて、「もしかするとアレも売れば高かったのかなァ」なんて、ないものの皮算用をしてしまいます。
ということで、現在空き家の片付けに困っている人、将来的に困るであろうことが分かっている方は、「宝探し」のような気分で臨んでみたらいかがでしょうか。やらなきゃいけない憂鬱な作業だからこそ、ちょっとでも前向きな気分で取り組むことが大切だと思います。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『それってホントに「勝ち組」ですか? 現代格差の読み解き方』(鹿砦社)。
