日本はどうすれば活性化するか
――2004年からは東京大学の副理事として、小泉(純一郎)政権下で勧められた国立大学法人化に伴う大学改革に尽力されました。
竹原:国立大学の法人化は、各大学に経営の自主運営権を渡し、一方国からの交付金は毎年1%カットする。ということからスタートしました。
東大でも、経営の体制を整え、より高い研究業績を挙げより良い教育を実践するための様々な改革に取り組んでいた。私は、そうした改革の中で、多くの外国人留学生のキャリア支援、ファンドレイジング、広報などを担当させていただいた。特にファンドレイジングは、数多くの皆さんと一緒に、少し成果を出せたのではないかと思います。
――その後、企業の福利厚生制度401K導入や外国人採用を支援するフューチャー・デザイン・ラボを立ち上げられました。
竹原:2000年頃にはすでに「日本の人口が今後60年間で9300万人になる」という急激な少子化が見えていました。人口が1億人を下回っても社会は成り立ちますが、急激すぎます。高齢者が大勢いるうちに働き手がズトンと減る。ソフトランディングさせるには世界中から若くて優秀な人たちに来てもらうしかない。
「外国人問題」と一括りにすると賛否が分かれますが、細分化すれば「何年時点で何歳は何万人足りない」という構造がくっきり見えてきます。それを職種別に分ければ、社会機能を維持するために、何年には医療で何万人、介護で何万人、ITで何万人の外国人に来てもらわなければならないかが分かります。この人数を何十社かで手分けしてリクルーティングしなければなりません。日本社会も、皆で協力して、こうした外国人との難しい共生に取り組まなければなりません。とても困難なことですが、欧米とは違う、日本らしい独自のやり方で乗りこえたいものです。
――元リクを中心に100人の首長輩出を目指す「かもめ地域創生研究所」代表理事も務めておられます。
竹原:今、元リクで活躍している政治家は国会議員が5人、市長が4人、県市議会議員が51人です。約1700ある日本の自治体で、PDCAを高速で回して成果を出す首長が100人加われば、日本の景色は少し変わるのではないか、という試みです。
その上で、地方は、必ずしも東京や大阪のようにグローバルに激しく競争する社会ではなくて、例えば自給自足の全く新しい技術・システムを作って例えば水道や電気料金をタダにして、美しい自然の中で穏やかな生活が送れる場所にする。人々が望むライフスタイルも時期によって変わるので、「ようし、一丁やってやろうか」という時は都市に出て、「今はちょっと充電」という時は田舎で暮らす。田舎をミニ東京にする必要はなくて、1つの国の中に2つの社会を併存させて選べるようになれば、日本は、世界に例のない、豊かな社会になるのでは、と思います。
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【プロフィール】
大西康之(おおにし・やすゆき)/ジャーナリスト。1965年生まれ、愛知県出身。早稲田大学法学部卒業後、日本経済新聞社に入社。欧州総局(ロンドン)、編集委員、「日経ビジネス」編集委員などを経て2016年4月に独立。著書に『稲盛和夫 最後の戦い――JAL再生にかけた経営者人生』『会社が消えた日――三洋電機10万人のそれから』(いずれも日経BP)、『ロケット・ササキ――ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』(新潮社)、『東芝 原子力敗戦』(文藝春秋)、『起業の天才!――江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』(新潮文庫)、『最後の海賊――楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』(小学館)など。最新刊は『修羅場の王――企業の死と再生を司る「倒産弁護士」142日の記録』。