つまり、縁組を継続し難い事由というのは、親子の精神的・物質的な共同生活関係が回復できないまで破壊された状態で、暴行や暴言・侮辱、養親の財産の減少、承継を約束した家業を無視した場合などもあります。ただ、このような事情があっても、裁判所が養親子関係の継続を相当と認めるときは、離縁の請求を棄却できます。
以上の通り、親の事情で解消することはできません。ご質問からは裁判離縁を請求できる事情はないように思われます。それでも離縁したければ、養子本人の同意を得るほかありません。
母親の遺産をあげるとの条件ですが、16歳に判断を迫るのはかわいそう。養親になった以上、大事に育てるのが務めですし、娘さんは奥さんの忘れ形見です。直ちに離縁を考えず、その成長を見守り、支援を試みてみたらいかがですか。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2026年6月26日・7月3日号