今もキオクシアの大株主である東芝(Getty Images)
上場から約1年半で70倍超という株価急騰が注目を集めているキオクシアHD。同社の前身は東芝メモリで、経営危機に直面した東芝の半導体部門から分社化された経緯がある。東芝は2023年12月に上場廃止となったが、今もキオクシアの大株主であり、株価急騰がその業績にもたらしたインパクトは大きい。早ければ2028年度の再上場を目指す東芝のビジネス戦略にどのような影響を与えるのか。同社の決算資料をもとに読み解いていく。
1.9兆円純利益を押し上げたもの
東芝の2026年3月期決算でまず目を引くのは、当期純利益の大きさだ。2026年3月期の当期純利益は1兆9673億円。前期の2790億円から大きく増え、過去最高益となった。
ただし、この利益をそのまま本業の稼ぐ力が強まったと受け取ると、読みを誤りやすい。東芝が保有するキオクシア株式の売却益・評価益などを含む「キオクシア関連利益」は、2026年3月期に2兆2770億円だった。本業の営業利益とは別に、持分や資産売却などから生じる営業外利益は2兆4129億円で、そのうちキオクシア関連利益が約94.4%を占める計算になる。
つまり、東芝の純利益は大きく跳ねたが、その跳ね方は営業外の要因に強く支えられていた。キオクシア株は、東芝にとって単なる保有株ではなく、2026年3月期決算の見え方そのものを変える資産となっている。
本業の改善はどこまで進んだのか
では、キオクシア要因を除けば東芝の業績改善は見えないのか。2026年3月期の売上高は3兆7091億円、営業利益は3008億円、売上高に対してどれだけ営業利益を残せたかを見るROSは8.1%だった。営業利益は前期の1985億円から1023億円増えている。
会社は、データセンター需要を背景とするエネルギー事業やデータ保存に使うHDD事業、防衛・鉄道・社会システムなどのインフラ事業が堅調だったと説明している。売上面でも、一部事業の減収があった一方、HDDやインフラ、半導体製造装置などが好調に推移し、全体では前年比約5.6%の増収となった。
ただ、再興計画との距離を見ると、売上規模よりも利益率側に重心があると読める。この計画では2027年3月期の主要指標として、営業利益3800億円、ROS10%を掲げる。2026年3月期売上高と2027年3月期予算の売上高3兆7500億円との差は409億円にとどまる一方、営業利益は792億円の上積みが必要だ。
もうひとつ分けておきたいのが、引当金等の影響である。将来発生しうる損失や案件コストに備える費用を差し引く前で見る「引当金等前の営業利益」は2026年3月期に3940億円だった。これは再興計画にある2027年3月期の営業利益目標3800億円を上回る。一方、引当金等を反映した営業利益は3008億円で、同じ目標には届かない。東芝の本業を見るには、「稼ぐ力」と「リスク・引当」を別々に置くほうが、真の実力をつかみやすいだろう。
また、今回の東芝の好決算を読み解くと、キオクシア関連利益は利益を押し上げただけではなく、株式売却に伴うキャッシュフロー改善や借入条件の見直しを通じて、東芝の財務面にも影響を与えている。では、その効果はどこまで確認できるのか。
※本記事作成には一部に生成AIの技術を活用しています。
