メモリ需要を背景に驚異的な成長を見せているキオクシア(AFP=時事)
生成AIの普及を追い風に、株式市場で大きな存在感を示している半導体メモリ大手のキオクシアホールディングス。6月22日に11万2700円の上場来高値を付けた後、7月3日には一時6万7190円まで急落したが、その後、大きく切り返すなど、乱高下する展開を見せている。こうした値動きの背景には、7月3日に発表されたIRへの投資家の期待もあるようだ。その注目ポイントはどこか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が解説する。
利確に押された急落から一転急反発へ
キオクシアホールディングスは、NAND型フラッシュメモリの開発・製造・販売において世界トップクラスのシェアを誇り、日本の半導体産業の復権を背負って立つ代表的な巨大企業である。かつての東芝のメモリ事業が独立し、日米韓連合のファンド傘下などで様々な紆余曲折を経て待望の上場を果たした同社は、近年における生成AI市場の急速な拡大に伴うデータセンター向けの大容量ストレージ、とりわけ超高耐久・高性能なエンタープライズ向けSSDの需要爆発を最大の追い風とし、業績を飛躍的に拡大させてきた。
2026年に入り、AI向け半導体の供給不足と需要逼迫を背景に同社の株価は圧倒的な上昇軌道を描き続け、6月22日には上場来高値となる11万2700円に到達した。しかし、この後、市場全体に短期的な達成感と高値警戒感が広がり、大規模な利益確定の売り圧力に押される形で強烈な調整局面へと突入した。
そして迎えた7月3日の寄り付き直後、株価は一時6万7190円まで雪崩を打ったかのような大暴落を記録した。最高値からわずか10日あまりで40%近い大きなドローダウンは追証回避の投げ売りを誘発し、市場参加者に強烈な動揺を与えた。
ところが、この7月3日の相場は単なる暴落では終わらなかった。6万7190円で底を叩いた直後から、「待ってました」とばかりに猛烈な買い戻しと新規の押し目買いが殺到し、終値ベースでは8万3300円まで怒涛の急反発を見せたのである。前日比でプラス9.23%という驚異的な上昇幅であり、日足チャート上では極めて長い下ヒゲを伴う大火柱の陽線を形成して引けた。この日の出来高は記録的な大商いとなっており、弱気派の狼狽売りを完全に吸収し、また、空売り筋を踏み上げながら上昇に転じた強力な反転シグナルとの見方も多い。
今回は、キオクシアのファンダメンタルズを確認し、それを手がかりにマーケットインパクトを検証する。
