「年金繰り下げ」は本当にお得なだけなのか?
出産費用に養育・教育費、住宅ローンに保険……人生のさまざまなタイミングでかかってくるお金。そして最期が近づくと、入院、通院、介護に看取り、葬儀代に相続と挙げ出したらキリがない。これらの費用はどのように貯めたらいいのか、そしてどのように支払っていくといいのかを理解して、人生最後の“間違いのない総決算”をしよう。【全3回の第1回】
「備えるお金」と「残すお金」は別物として考える
高齢夫婦無職世帯において「公的年金だけでは30年間で約2000万円の赤字になる」という金融庁の試算により、2019年に社会問題化した「老後2000万円問題」は、物価高のいま、3000万、4000万、果ては5000万円が必要であるともいわれる。「到底、そんな資金は用意できそうもない」と不安を抱える人は多いだろう。しかし、その数字こそ“まやかし”だ。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんが指摘する。
「話題になった『老後2000万円問題』のように“一律で”金額設定してしまうのは大前提として間違っています。老後資金が2000万円あっても、あくまで世間一般の平均値であって、生活水準や収入、退職後の住宅ローンの残り、受給できる年金などによって必要なお金は変わります」
老後資金を考えるときは平均値に惑わされず“自分軸”で考えること。それこそが新たな原則となる。
どのくらいの資産があるか、年金など見込める収入、生活費や娯楽費など自分たちの生活を洗い出すにあたり、黒田さんは「内訳について誤った認識を持っている人が少なくない」と続ける。
「老後資金の内訳は『使うお金』『備えるお金』『残すお金』の3つです。この3つを分けて考えるべきなのに、備えるお金と残すお金を一緒くたにしている人がほとんど。日々の生活費と、予期せぬ事態に備える医療費・介護費、自宅の修繕費などは別物として考える必要があります。
特に毎月の基本的な生活費とは分けておかないと、予想以上のスピードで減っていき、老後の生活が破綻します」(黒田さん)
