個人投資家にとって重要な「失敗の経験」
株式投資において長期的に成果を上げていくために必要な条件とは何でしょうか。その答えは非常にシンプルかつ本質的な「知識」×「経験」という2つの基準に集約されます。
いくら本や動画などで相場のメカニズムやテクニカル分析の「知識」を学んだとしても、実際に自分のお金を投じて運用する「経験」がなければ、投資のスキルは身につきません。また、知識だけに頼って相場に挑むと、想定外の急落が起きた際にパニックに陥り、冷静な判断ができなくなってしまいます。
そして、この「経験」の中で最も重要なのが、「失敗の経験(損をした経験)」です。
失敗から学べる貴重な教訓とは
相場が良い時期に投資を始め、トントン拍子に利益が出ると、「自分の実力で勝てている」と錯覚しがちです。ビギナーズラックで勢いに乗り、信用取引などのレバレッジをかけて投資額を膨らませた結果、その後に訪れたショック安で全財産を失ってしまうケースは後を絶ちません。
一方で、早い段階で「損をする」という辛い経験を味わった投資家は、次のような貴重な学びを得ることができます。
・相場は決して自分の思い通りには動かないという現実を知る
・自分の「リスク許容度」や「メンタルの弱さ」を自覚できる
・無茶なレバレッジや一極集中のリスクを身をもって理解する
「山高ければ谷深し」という相場の格言があるように、急激に上昇した銘柄ほど下落する際の値動きも激しくなります。失敗を経験したからこそ、「相場には絶対がない」という前提に立ち、慎重かつ合理的な投資戦略を練り直すことができるのです。
「やればやるほど不安が小さくなる投資」を実現する方法
本来、多くの人が株式投資を始める目的は「将来のお金の不安を減らすため」や「生活にゆとりを作るため」であったはずです。
しかし、実際の株式投資では、毎日株価の乱高下にハラハラ・ドキドキしたり、画面から目が離せず、仕事や家族との時間に集中できない。含み損が増えるたびにイライラし、周囲に対して冷たく当たってしまうこともあるでしょう。
お金の不安を減らすために始めたはずの投資が、「やればやるほど不安が大きくなる投資」になってしまっていては本末転倒と言えます。
では、逆に「やればやるほど不安が小さくなる投資」とはどのようなものでしょうか。その特徴として以下の4つのポイントが挙げられます。
【1】ポートフォリオの多様化と分散(守りと攻めのバランス)
特定のテーマ株(半導体など)だけに資金を一括投資するのではなく、様々な業界やアセットに分散投資を行います。さらに、株価の値上がり益(キャピタルゲイン)だけを狙うのではなく、配当金(インカムゲイン)を得られる仕組みを作っておくことで、相場全体が下がった時期でも着実に現金収入を得られる安心感が生まれます。
【2】時間軸を長期に設定し、積立投資を活用する
長期的な視点を持っていれば、一時的な相場の下落は「安く購入できるチャンス」「保有株数を増やせる機会」としてポジティブに捉えることができます。10年、20年というスパンで世界経済の成長に乗るスタンスを取ることで、日々の値動きに振り回されなくなります。
【3】レバレッジをかけず、余剰資金の範囲で運用する
信用取引など身の丈に合わないリスクを取らなければ、最悪のケースでも投資資金以上の損失(借金)が発生することはありません。「いくら下がっても退場させられることはない」という事実自体が、メンタル的な安全基盤となります。
【4】自分なりの「成功の基準」を持つ
SNSなどで他人が「○○万円儲かった」「短期間で資産が倍になった」といった報告をしていても、それに惑わされる必要はありません。安易に「頭と尻尾(最高値と最安値)」を狙おうとせず、「自分にとっての本当の目的(資産を守りながら無理なく増やすこと)」を軸に据えることが大切です。