「併願優遇」という高校受験特有の制度
都内で考えると、高校無償化で私立高校が人気と言われるが、学力上位層は相変わらず都立志向だ。例えば、都立日比谷、西、国立、駒場、新宿、三田、竹早、武蔵野北など、大学進学実績の高い都立進学校は依然として人気がある。
「高校受験は女の子の選択肢がない」と心配する保護者の娘さんの多くは、中学受験偏差値50から59の「中堅層」」に属している。仮に高校受験に切りかえるとしたら、これらの都立進学校を第一志望に据えて受験する可能性が高いだろう。
都立高校を受験するとしても、多くの場合は併願で私立も受験することになる。この際、高校受験特有の制度である「併願優遇」を利用することができる。
さて、この「併願優遇」は、主に東京都や神奈川県の私立高校で行われる入試制度だが、高校受験の経験がない保護者にとっては馴染みのないものだろう。
東京都では、多くの私立高校に内申点を基準とした併願優遇制度がある。内申点などがその私立高校の基準に達していれば、「併願優遇」と呼ばれる制度を利用できる。多くの学校では、12月頃に中学校と高校の間で内申点の情報をもとに入試相談が行われ、基準を満たしていればほぼ合格になる仕組みだ。
私立高校Aの併願優遇で認められれば、第一志望の都立高校に不合格になった場合、そのA高校に進学することになる。A高校の一般入試も受験するが、当日の試験で大失敗をしない限りはまず合格する。
神奈川県もこれとほぼ似た形で、一般入試の前に中学が私立高校と調整し、内申点に基づいて合否の見通しを立てるケースが多く、よほど一般入試で大失敗がない限りは合格していく。
併願優遇でも人気の私立高校
つまり、高校入試では都立高校以外にも、私立受験の選択肢があるといえる。都立第一志望の生徒が選ぶ併願私立高校を見ていこう。
まず、23区内だと板橋区の淑徳高校、淑徳巣鴨は、コースによっては比較的高い内申基準を求める併願優遇校の一つとして知られており、併願校として人気がある。品川区の青陵高校、朋優学院高校も併願校として定番になっている。
都内西地区には、小平市の錦城高校、武蔵野市の拓殖大学第一高校、八王子市の帝京大学高校など、併願優遇の人気校がある。錦城高校はグラウンドが広く運動部も盛んだが、新聞部や映画部も強豪でコンテスト入賞の実績もある。
「併願優遇は内申基準が明示されているため、基準に基づいて選ばれやすいです」と栄光ゼミナールの高校入試責任者・松田裕太郎さんは指摘する。内申をしっかりとっていれば選択肢は広がっていくというわけだ。
高校入試の大きなメリットの一つは、このように内申点で受験が突破しやすくなる点だ。中学受験で四谷大塚偏差値50前後ぐらいの学力があれば、公立中学の定期テストで高得点をとることは十分可能だろう。あとは課題をしっかりと提出し、真面目に学校生活を送れば、内申点は着実にとれていく。
日々の努力が評価されるのが、ペーパー試験の得点のみで合否が決まる中学受験とは大きく異なる。
「高校入試は内申をコツコツとれる生徒は選択肢が圧倒的に広くなります」と松田さんは話す。