森功氏著『地面師vs.地面師 詐欺師たちの騙し合い』(左)と河合桃子氏著『地面師連絡役カトウ』
河合:まさに真相は闇の中にあるわけで、だから取材する側としては面白いんでしょうね。
森:詐欺事件、経済事件というのは、結局結論が出ないケースが多い。積水ハウスの場合は55億円も被害が出たわけですけど、お金は返ってきてないし、その行方もわからないまま。警察も立件まで行けば、お金の行方まで捜査はしない。謎が謎として残るからこそ、我々としては興味が湧く。
河合:地面師事件はずっと続いてきたわけですが、キモは紙の権利書を偽造して騙す、というところですよね。アナログな詐欺ですから、今後どのように形を変えていくか。
森:まあでもやっぱり、詐欺師は「儲けたい」と思って詐欺をするわけですから。今不動産はやっぱりすごいでしょ。一発の詐欺で億単位儲かるというのは特殊詐欺なんかと比べてもやっぱり効率がいい。地面師は形を変えて残り続けるでしょう。
河合:住宅ローンを狙った詐欺も増えていると聞いています。カミンスカスを含め、主犯とされる大物地面師たちも近いうちに出所する。彼らは何度やっても懲りないということも、今回取材して強く感じるところでした。
【プロフィール】
森功(もり・いさお)/1961年、福岡県生まれ。ノンフィクション作家。2018年に『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞を受賞。『地面師vs.地面師 詐欺師たちの騙し合い』は、『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』の続編となる。
河合桃子(かわい・ももこ)/1977年、東京都生まれ。ライター。幅広く取材活動を行なっており、特に性風俗にまつわるアングラな業界を長年取材している。『地面師連絡役カトウ』は初の著書で、第32回小学館ノンフィクション大賞を受賞。
※週刊ポスト2026年8月28日・9月4日号
