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葬祭のプロが考える「これからの葬儀」
葬儀の「平均費用」にまつわる誤解

【葬儀代は高すぎる?】巷に流布した“葬儀の平均費用231万円”を信じてよいのか? 「実はもっと安いですよ」葬儀のプロが解き明かす統計数字のカラクリと業界の事情

「全国平均」の調査データが上振れするカラクリ

 日本消費者協会は数年に一度、「葬儀についてのアンケート調査報告書」を発表しています。その中の葬儀費用の全国平均金額は、多くのマスコミが参考にし、引用してきました。

 葬儀業界にいるとよく耳にすることなのですが、発表されている葬儀費用の全国平均金額は、実態より上振れしています。この「全国平均金額」を上回る価格をベースにする葬儀社は少ないでしょう。「貯蓄額や給料と同じで、一部の富裕層が平均値をつり上げているのでは」と思われる人もいるかもしれませんが、そうではありません。

 上振れするのは「葬儀費用を支払っていない人」にも回答させているためです。どういうことでしょうか。

 本来葬儀費用のアンケート対象者は、実際に葬儀費用を支払った施主(喪主であることが多い)にするべきです。しかしこの調査は長期にわたって「ご家族に葬儀があった人」を対象にしてきました。つまり実際に支払いのやり取りをした本人が明かした数値ではなく、『喪主が「○○円かかった」と言っていた』と、伝え聞いた数値を反映させてしまっているのです。

 葬儀費用がいくらかかったのか、と施主が身内から聞かれるケースを想像してみてください。たとえば、葬儀に165万円かかったとします。

 施主の親族「葬儀にいくらかかったの?」
 施主「170万円ぐらいかな。なんだかんだ合わせると、200万円近くかかったよ」

 こうしたやり取りは、想像に難くありません。

 家長であり相続人であることが多い施主は、実際にかかった葬儀費用よりも多めの金額を答える人が多いのです。なぜなら「亡くなった親のことを思ってできるだけ立派な葬儀を行った」「土地や家は相続したが、そのかわり葬儀費用もかかったのだ」とアピールしたいからです。165万円かかったものを、「150万円で済んだ」という人はいないのです。
 
 この例でいえば、かくして葬儀費用のアンケートには「200万円」が反映されます。そしてこうしたケースの数が多ければ多いほど、平均価格が上振れしやすくなるというわけです。その他、施主にしか回答できない他の設問の回答数が少ないことからも、回答者の半数は施主ではないことが推察されるため、この平均価格は「実態」と乖離があると私は考えています。

 またこの調査は近畿や四国など地方別の統計も取っていますが、サンプル数が少ないことに注意が必要です。年度によってはその地方のサンプル数が10名以下の場合もあります。さすがにその地方の数十万件のお葬式の統計を取るのにサンプル数が10名以下は少なすぎです。この辺も精度が低くなる原因だと考えています。

 そして実はこれらの問題点は、日本消費者協会自身が「葬儀についてのアンケート調査報告書」の中で注意を促しています。

 報告書の中には、アンケートの回答者は費用を正確に把握できる立場の人ばかりではないことや、限られたデータでの単純な平均額なので数値のみにとらわれないようにしてほしいという趣旨の記述があります。しかしこういった数字はどうしても切り取られて一人歩きしがちです。

 そして葬儀業界は、この数値の上振れを利用してきました。多くの葬儀社のサイトやパンフレットで、日本消費者協会の数値は引用されています。社内の葬儀費用の平均が150万円だったとしても、「日本消費者協会の発表では231万円」と喧伝することによって、消費者がより高額な葬儀費用を払うように誘導してきたのです。これも日本消費者協会の数値が広まった原因の一つでしょう。

 後編では、「本当の」葬儀費用の平均はいくらなのか、また平均費用を鵜呑みにすることの危険性について、引き続き解説していきましょう。

▼▼▼後編記事▼▼▼
【つづきを読む→】人手不足と円安で葬儀費用もジリジリ値上がり…結局いくらかかるのか?葬儀社側から見た実態に近い数値

【プロフィール】
赤城啓昭(あかぎ・ひろあき):1級葬祭ディレクター。葬儀業界歴約30年。運営する「考える葬儀屋さんのブログ」は月間45万PVを達成し、ライブドアブログ OF THE YEARを受賞。近著に「子供に迷惑をかけないお葬式の教科書」。テレビ、新聞、雑誌、YouTubeなどでも葬儀現場の正しい情報をわかりやすく発信中。
ブログ:https://kangaerusougiyasan.com/
YouTube:https://www.youtube.com/@kangaerusougiyasan

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