なんにせよ、義務者に第1から第3まで順位があるのは、後順位の人は先順位の義務者がいない場合に義務を負う関係になるからです。以上は届出の義務の話ですが、先順位義務者がいても後順位義務者は届け出ができます。
そのほか『戸籍法』では、死亡届ができる者として同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、及び任意後見受任者を規定しています。また、病院で死亡し、届出義務者がいない場合は、病院の長や管理者が届出義務を負います。届出先は死亡地、死亡者の本籍地、届出人の住所地(所在地)のいずれかの市区町村役場です。
このように将棋の友達というだけでは死亡届を提出できず、友人の説明は間違っていません。あなたはアパート暮らしで、同居の親族、あるいは同居者がいませんが、第3順位の届出義務者としてアパートの大家がいます。あなたに不幸があれば、大家には死亡届をする法的義務が発生します。
ただ、ひとり暮らしだと異変に気づかれないとの心配もあると思います。そこで大家はもとより、隣室の住民と日常的な交流をしておくのも検討してみてください。それから将棋の友人に緊急の場合に備え、大家さんの連絡先を教えておくとよいでしょう。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2026年8月28日・9月4日号