難関私大付属校の東西の難易度の違いの背景は
首都圏では早慶やMARCHの付属校が難関化する一方、関西では関関同立の付属校に比較的入りやすく、進学校の人気が高い。なぜ同じ難関私大の系列校でも、東西で立ち位置が大きく違うのか。取材をすると、「大学までの切符」を早く手に入れたい関東と、一般選抜受験を子供の成長機会と捉える関西の受験観、さらには就職環境の違いまで浮かび上がってくる。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする。【東西受験文化の違い・全3回の第1回】
首都圏の大学付属校は中学受験で難関に
首都圏の中学受験は過熱が続いているが、その中で付属校は相変わらずの人気だ。メディアで「総合型選抜の拡大で一般選抜の枠は狭まる」と報じられている影響もあり、早慶やMARCHに確実に進学させるためには中学受験で「付属校に入れるなくては」と考える保護者も多い。女子の日能研偏差値(R4)を見てみると、早稲田実業は67、慶應中等部66、学習院女子59、中央大横浜58。
ところが関西の中学受験にはこういった付属校の難化はない。関西の女子の偏差値を見ていこう。関西大学中等部は44(1月16日・前期)、同志社は47(1月16日)、同志社女子は54(1月16日前期WR)。この偏差値の意味も関東と関西では全く違う。関東で偏差値50はそれなりに難しいが、関西だとそこまでではない。関西では驚くほど関関同立の付属校に入りやすいのだ。
「かつては同志社女子はもっと難易度が高かったです。当時は同志社に進学して医者と結婚するのが関西の女子の憧れと言われていましたが、今は自分自身が医者になることを目指す人も増えたので、そうなると進学校に進学したがります」(関西の大学関係者)
関東は「早期に進路を決め、エスカレーター式で進学させたい」
関東では早慶MARCHは系列校からの内部推薦を増やしたり、連携校を増やして指定校推薦の枠を拡げているが、そういった動きも関西にはあまり見られない。
「関東は付属校からエスカレーター式に大学に進学させたいという文化ですが、関西の保護者は進学校に入れ、勉強をさせ、一般選抜で大学に進学させたいという文化です。受験を乗り切ることで、成長してもらいたいと考えるのでしょう」と語るのは、大手予備校出身で、大学受験に詳しい株式会社教育情報マネジメントの蔵下克哉さんだ。
関西は付属校の入試が難しくない一方で、灘という日本最難関の進学校も存在する。付属校も内部進学コースと外部受験を目指すコースに分けているケースが多い。はっきりと外部受験を打ち出さないと生徒が集まらないということだろう。このように関西は一般選抜志向が強いのだ。
