面接必須化で膨らむ負担を見越して中止する大学も
この夏、教育関係者の間ではこの「年内学力入試の面接必須化」の話題で持ちきりだった。
「一次試験は学科試験や調査書、小論文などで行って、合格内定者だけ面接すればいいのでは」という声もあったが、近畿大学のように受験者が5万5000人、合格者が何千人規模になる入試では、それだけの数を面接しなくてはならない。
「オンラインで集団面接をすればいいのでは」という意見もあるが、その場合、必ずネット回線の不具合等で参加できない受験生が出てくるので、その部分も配慮した設計にしなければならない。オンラインの集団面接は実は簡単ではない。
今年から年内学力入試を始めるとしていた成蹊大学は、この面接必須化の方針を受けて、「年内学力入試は止める」とした。すでに年内学力入試を行っている大学は2年間は面接なしでいいが、それ以降は面接を行う必要がある。他にも年内学力入試を止める大学も出てくるかもしれない。
面接は受験生にとっても負担が大きい
面接必須になると、大学側は「どう実施すればいいか」と悩むが、受験生に負担が大きい。
中学受験や高校受験を取材していると、コロナ禍以降、面接を復活させたら志願者が減ったというデータは幾度も見てきた。たとえ面接で不合格になることはまずないと分かっていても、受験生からすると負担感が大きいのが面接なのだ。
高校や塾の関係者がよく話すのは「面接で不合格になることはほぼないから、普通に話ができれば問題はない。面接の練習なんて必要ないと説明しても、生徒や保護者は不安がって対策をしてくれと希望してくる」ということだ。そうなると、高校や塾も面接の対策をしないといけないため負担が増える。
一方で、「年内学力入試は面接必須」という文部科学省の方針も筋は通っているのだ。一般選抜は2月以降だが、推薦・総合型選抜はなぜ年内に行っていいのか。それは書類審査や小論文、面接などを行っていく「丁寧な選抜」だからだ。丁寧に選抜を行うには時間がかかるため、早くから実施していいということになる。
こういった丁寧な選抜では評定平均値が重要視されるが、前回記事で説明した通り首都圏以外ではそれがあまり頼りにならない。その中で、大学が年内学力入試を完全に手放すことは考えにくい。むしろ今後は、学科試験を維持しつつ、面接や調査書をどの程度組み合わせるかが各大学の競争ポイントになるだろう。学力重視を残しながら、文科省の求める多面的評価にどう応えるか。そこに各大学の工夫が問われている。今後の動向に注目したい。
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(ともに青春出版社)も話題に。『ハナソネ』(毎日新聞社)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)、『東洋経済education×ICT』などで連載をしている。受験の「本当のこと」を伝えるべくnote(https://note.com/sugiula/)のエントリーも更新中。