不妊治療への思いを語った西村誠司社長
異色のCMで話題を集める「にしたんクリニック」を展開するエクスコムグローバル社長の西村誠司氏(56)には、思い描く「未来図」がある。不妊治療を、一部の人だけが受けられる「特別な医療」から、誰もが必要な時にアクセスできる“社会インフラ”にすることだという。西村氏が「にしたんARTクリニック」を通して挑戦する医療業界の変革のビジョンとは。本誌編集長がインタビューした。【全3回の第1回】
アメリカで不妊治療を受けて実感したこと
僕は2010年から約11年間、家族と一緒にアメリカで暮らしていました。2015年に現地で不妊治療を受け、娘を授かることができました。同じ頃、弟夫婦も日本で不妊治療をしていたんです。僕は弟に、アメリカで受けられる高度な検査について話して、「こっちに来て治療を受けてみたらどうか」と勧めたのですが、仕事や生活の事情もあって実現できず、最終的に弟夫婦は子供を授かることを諦めました。
その経験から、弟だけじゃなく、同じ思いをして諦めている人は日本にたくさんいるのではないかと思ったんです。だから、日本に戻ることがあれば、アメリカで受けられるような治療を日本でもできるようにしたいと考えていました。
〈日本に帰国した西村氏が、約1年の準備期間を経て22年に開業したのが、不妊治療専門の「にしたんARTクリニック」だ。〉
僕がアメリカで感じたのは、日本に技術がないというより、技術があっても制度や学会のガイドラインがあって、なかなか実装されにくいということでした。もちろん、安全性を考えて慎重になることは大事です。ただ、その結果として「患者さまが本当に求めていること」が後回しになっている部分もあるのではないかとも考えました。
