かつて葬儀業界は「大卒」が珍しかった(イメージ)
就職活動において、学歴で応募者をふるいにかける「学歴フィルター」の存在は広く知られているが、それを表立って明かす企業は多くない。一方、学歴不問で飛び込める業界のなかにも、「学歴」を重視する採用担当者はいる。
葬儀業界歴約30年、1級葬祭ディレクターの赤城啓昭氏は、大手葬儀社で採用面接官を務めていた当時、応募者の評価軸に「学歴」があったことを明かす。いったいどのような評価基準なのか、赤城氏がそのポイントについて解説してくれた。【葬儀業界への就職で求められる資質・前後編の前編】
採用で重視した2つの必須能力
私は大手葬儀社の採用面接官を長く務めていました。新卒と中途を合わせて500名ほど面接して、80名ほど採用したと記憶しています。採用基準として重視したのはまず「ホスピタリティ」と「バイタリティ」、そして「学歴」です。
まずホスピタリティとは、「もてなし」や「思いやり」という意味です。葬儀業界においては、大切な人を亡くした遺族の心にどれだけ寄り添えるかということです。共感性とも言えるでしょう。遺族からちょっと難しいリクエストを受けた時に「面倒だ」と思うか「腕の見せ所」と思うかは才能です。これはパーソナリティによる部分が大きく、入社後の教育で身に付けさせるのは難しいので、採用の段階で慎重にチェックします。
次にバイタリティですが、私が採用で見ていたのは、精神と肉体の強さです。遺族の中にはパートナーを自死で失ったり、子供を事故で亡くしたりなどといったことから強い精神的負担がかかっている人もいて、それは葬儀社スタッフも同様です。
肉体的には、重い遺体を持ち上げて棺に納めたり、祭壇を運んだりするため、基本的な筋力が必要です。また毎日の体調に気を使う意識も大切です。24時間365日、いつなんどき呼び出されるかわからない業界なので、常に万全の状態でいることを意識しなくてはなりません。夜勤明けの睡眠不足の状態で、遠方の寺を訪れて炎天下で祭壇の設営をして、通夜が終わってから会社に戻り、翌日の葬式の準備をするということもあります。そうしたときでも、体調を崩すわけにはいきません。
