一方、お孫さんのように期限の定めがある有期雇用の場合、1年未経過の契約期間中は働く義務があります。つまり、『労働基準法』では有期雇用の労働者と3年以上の契約をできないとした上、雇用開始後1年が経過していれば、いつでも退職できるとしています。なので残念なことに、お孫さんは仕事に就いたばかりですから、自由に退職はできません。しかし、民法628条では有期契約でも「やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」と定めているため、このやむを得ない事由に該当していれば辞職できます。使用者側が行なう解雇には、厳しい制限などが課されますが、労働者の退職理由のやむを得ない事由は、比較的緩やかに認められています。
大雨危険警報は避難指示が出される目安となる状態です。通勤経路が警報の対象になっている場合、安全確保措置を講じず、リモートすら拒否して出社を命じたのなら、会社側の対応は問題でしょう。
人は意に反する苦役に服させられない基本的人権を有しており、今後の勤務継続に不安を覚えるのも無理はありません。退職もやむを得ない事由となります。
【プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2026年11月6・13日号