中国がAI技術の輸出管理を強化する狙いと、その影響は(Getty Images)
グローバル規模で見れば、アメリカ・中国の2国がAI技術開発で一歩リードするなか、中国は、AI技術の輸出管理を強化する方針を示している。その具体的な内容はどのようなもので、狙いはなにか。中国経済に精通する中国株アナリスト・田代尚機氏がレポートする。
中国商務部、科学技術部が発表した「目録」改定案の中身
中国商務部、科学技術部は10月16日、「中国輸出禁止・制限技術目録」の改定案(意見徴収)を公開した。AIの分野では、既にオープンソース化していたり、学術論文の発表などを通じて公共化したりしている技術を除き、大規模言語モデル(LLM)、インテリジェントエージェント(環境を見て判断し行動する主体)、高い計算能力を持つコンピューターをまとめたクラスタ型計算システム、情報処理に関する23項目の技術が目録に追加された。
具体的に示すと、禁止の対象では、AIによるマルウエア生成・変異技術、国内のデータをコアデータとして利用し訓練、サービス提供されるLLM、国家の重要情報インフラ、国防、行政などに特化して使用され、かつ一定の高性能基準を満たすエージェント技術など。
制限の対象では、セキュリティ上の脆弱性を自動的、効率的に発見する技術、一定規模・性能のモデル、中国のデータを重要データとして利用し、訓練、サービス提供されるLLMなど。一定規模・性能のモデルについて補足しておくと、計算量が10の26乗回以上の浮動小数点演算、パラメータ数が2兆個以上、性能が世界トップクラスといった3つの条件に一つでも当てはまるモデルが対象となる。
中国の人口は14億人で世界2位(2025年)、経済規模(名目GDP、2025年)でも2位、製造業名目GDP(2025年)は米国の1.6倍、日本の5.7倍で世界最大、国土面積はロシア、カナダ、米国に次ぐ4位である。中国国内において、消費行動、自動運転、フィジカルAIなど、多くの分野で今後、膨大なデータが生み出されるだろう。
