田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国の人民元高誘導、日本円への影響は?

 中国外貨取引センターは26日、「群れ効果(羊などの動物が群れをなすのと同様に、人間も混乱しているときは集団に従う傾向があること)の影響を緩和させるために、中国は人民元対ドル基準値の価格モデルに逆周期調整因子(カウンターシクリカル レギュレーター)の導入を考慮した」と発表している。

 ちなみに、逆周期調整因子は、「マクロ経済などファンダメンタルズの変化動態調整に基づき、為替レート形成においてマクロ経済の基本的状況に有利になるよう誘導し、基準値がさらに十分中国経済などのファンダメンタルズ因子、実際の外貨需給、通貨バスケットの変化に反映するようにせしめる」と指摘している。

 従来は、前日取引の終値に通貨バスケット制の値を参考にして決める制度だったが、それに逆周期調整因子を加えたことで、前日の取引により、人民元安(あるいは高)が大きく進むような場合は国務院の判断を待つことなく臨機応変にそれを緩和できるようになった。

 現在の貿易政策において、為替レートの変更によって輸出を拡大させようとするような発想はないし、産業構造上、貿易黒字体質がすぐに変わることはないだろう。金融政策は金融レバレッジ縮小に関する優先順位が高く、インターバンク市場金利は今後も高水準を維持するであろう。

 一方、アメリカでは、政治的混乱により、トランプ政権による減税、インフラ投資拡大政策を推し進める速度が遅くなるといった見通しが強まっている。アメリカ経済は、統計数字上はともかく、実体では雇用面や消費面で不安があり、インフレが進行する可能性は低いだろう。利上げサイクルのスピードは遅くなる見通しから、ドルには下落圧力がかかりそうだ。

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