大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

大前氏 日本人の家計の不安はAI搭載のロボアドバイザーで解消される

 この作業をやってみると、実は、多くの人たちは最後にかなりのお金が余るということがわかる。その人たちは、余るお金を生きているうちに、人生をエンジョイするために使おう、と考えるはずだ。

 つまり、日本人はまず個々人が自分自身のファイナンシャルプランを作るべきなのだ。これだけは一般論ではなく、個別に計算しなければ、将来に対する不安は解消しない。もし、それすら面倒だというなら、いま資産運用分野で急速に進化しているロボ・アドバイザー(ロボアド)を活用し、AI(人工知能)にファイナンシャルプラン作りから投資まで、すべて任せてもよいだろう。

 そのようにして人々の将来に対する漠たる不安が払拭されれば、今は銀行などに眠っていて“死に金”となっている個人金融資産が市場に出てきて消費が拡大し、一気に景気が良くなるはずだ。

 逆に、経済効果ゼロで税金だけを浪費するアベノミクスを続けていたら日本経済は早晩行き詰まり、国債暴落とハイパーインフレを招くかもしれない。そうなれば、「異次元金融緩和」の名の下に427兆円(3月末時点)もの国債をフォアグラのように貯め込んでいる日銀は、それが腹の中で爆発するので、日本経済はジ・エンドだ。1800兆円の個人金融資産も、あっという間に雲散霧消するだろう。

 このままいくと「黄金の国ジパング」はやはり幻だった、という結末になりかねないのである。

※週刊ポスト2017年8月11日号

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